新年最初の映画鑑賞は、昨年と同じく自宅で飲みながらのサブスクリプション。
最近は妻が何かと予定が詰まっていて、なかなかふたりで観る機会もないのだけど、正月ぐらいはゆっくり観ようか…と観始めたのも束の間、途中で寝息をたてるまでがだいたいセットになっているという、いつものパターン(苦笑)。
それはさておき、これほど夫婦の胸に刺さる作品があるだろうか。
ひと組の夫婦が子どもの親権を争い、離婚に至るまでの様々な葛藤や苦悩を描いた、物語としてはなんてことのない、ごく日常的な出来事が会話劇を中心に進んでいく。
文化や職業、性格の違いはあれど、その生活風景のどれもが“あるある”といった風で、激しく共感できるものもあれば、そうでないものもあるけど、多かれ少なかれ大抵の夫婦が経験するリアリティーがいちいち胸に刺さって、何度も目頭が熱くなってしまった。
妻の目線から見た善き夫。
夫の目線から見た善き妻。
お互いに惹かれあい、結婚の誓いを立て、病めるときも健やかなるときも、富めるときも貧しきときも、共に生きようと心に決めた。
子どもが生まれ、日々の生活が日常になり、新鮮な関係はいつしか当たり前になっていく。
お互いのエゴが大きくなり、妥協を忘れ、嫌な部分が顔を出し、いさかいや罵りあい、醜い自分があらわになってしまう。
もちろんすべての夫婦がこうなるわけじゃない。けれども、すべての夫婦がこうなるリスクを孕んでいる。
こうなる前に、もっとできることがあったんじゃないか。お互いの話をもっと聞いていたら。相手を慮って接することができたら。
いや、ここまで拗れたら手遅れだ。もっと早く別れておくべきだった。そもそも結婚したのが間違いだ…枚挙に暇がなくなるほどの、それぞれの言い分、様々な言い訳。
この決断に正解はない。
それぞれが離れて別の道を、もしくは共に同じ道を進むための、前向きな決断であることがすべてだ。
ひとつだけ間違いないのは、お互いがかつて愛したひとだということ。
お互いを支えあい、共に生きようと誓ったひと。立場はどうあれ、幸せを願うひとだということだ。
そして本作は気づかせてくれる。
自分にとって大事なひとは、大事にしなければいけないひとは、いつだってそばにいたんだということを。
