ぬ

マリッジ・ストーリーのぬのレビュー・感想・評価

マリッジ・ストーリー(2019年製作の映画)
3.9
自分の四半世紀ちょいの人生では、恋愛でこんな壮絶に愛憎入り混じった気持ちになったことないのだが、ひたすらスカヨハとアダム・ドライバーの演技のおかげで、なんかちょっと人間同士の関わり的な部分で共感できるところもあったし、何より圧倒された。
やっぱり人と人が一緒に生きてくのって大変なことなのだなと思った...
同じ人物に対して愛する気持ちと憎む気持ちどちらも抱いていて、さらにそのどちらもが無視できないくらいに大きな存在っていうのは、相当消耗するだろうな...

喧嘩になって「あの時はあなたの希望を優先して、あなたに合わせてこうしたけど、本当は自分はそうしたくなかった!」ってなるのって友達とか家族とかの間でもあることだと思うし、非常に難しいと思った。
そういう小さな齟齬や見過ごせない出来事は、面倒臭がらずにいちいち話し合わなきゃダメだし、いちいち話し合って折り合いポイントを見つけられる者同士じゃないとストレス溜まるよなぁ。

依頼者のために仕事をしてるとはいえ、どこか自分の願望を押し付けたり、依頼者の弁護を通して自分の鬱憤を晴らしたりしようとする弁護士の感じも見ていて辛かった。

まぁ何にせよ、浮気は最悪だし、一番振り回されてるのは子どもだな。
夫婦が相手に不満を抱きながらも離婚せず、嫌悪感漂うムードの中で一緒に暮らす方が子どもにとっても辛いんじゃないかと思うけど、きっぱりと法廷で「父親はこの曜日、母親はこの曜日に子どもと過ごしていい」と決めて、無理やりそれに合わせさせられる子ども、大変だな。
身の回りに親の離婚を経験している人が結構いるのだが、みんなこんな苦労したんだろうか、と思ったら、ほんとみんなよく頑張ってるなって思った。

あとスカヨハのショートヘアとファッションがすごく素敵だった。
アダム・ドライバーもひたすらかっこよかったが、演じるキャラが子どもに接するの下手だし、やっぱ自分勝手なのが滲み出てるし、外面だけは良さそうだし、嫁にきついし、残念ながら子どもがそこまで懐いてないのは仕方ねぇわな、と思った。
何より浮気したという事実が揺るぎなくクソすぎてどうしようもねぇ。

ノーア・バームバックの映画は面白い!と思うやつと微妙!と思う奴の差が激しいけど、これまた同監督の離婚と家族のお話『イカとクジラ』くらいよかった。(『イカとクジラ』も好き)
ぬ