かつての愛の結晶である子供を我がものにするために相手の粗を探し自分を少しでも優位な立場に押し上げる離婚裁判という不毛な戦い、自らを護るために雇ったはずの弁護士の口から止めどなく溢れる言葉の暴力は相手の首を刈ると同時に自らの心をも容赦無く切り裂く制御を失ったブーメラン、主体を離れた言葉たちを取り戻すために設けた話し合いの場でさえも自らの意図とは真逆の心無い剥き出しのそしてさらに主体を離れつつあるそれで憎み合ってしまう、ただそこで溢れる出る涙、抑えきれなくて壁にあいた穴、それこそが愛なのではないか、相手を憎もうとしても憎みきれない、やっと短所が見つかってもそれを補い余りあるほどの長所がいつも横から顔を出す、次は私の番僕の番と借り物競争のように競い合っていたあの頃とは違い、今なら言える次はあなたの番ですねと、解けた靴紐のように簡単に結び直せる関係ではなくなってしまったかも知れないがいずれまたいつか、、、これは愛の終わりと見せかけた始まりの物語。バームバックは現役の中で誰よりも知っている どうしょうもないけど愛すべき人間のアングルを。
2020-19
