くう

HOKUSAIのくうのレビュー・感想・評価

HOKUSAI(2020年製作の映画)
3.7
青年期やさぐれてギラギラ。老年期枯れずにギラギラ。柳楽優弥からの田中泯さま。もうピッタリのキャスティング!!

ああ、このための泯さまだったのかと思うと何度も泣けてしまう。全身の表現。

好きなものを好きに描けない時代、精いっぱい生きた人たちを描く。

歴史的事象は描写が少なく、もちろん創作だけれど、弾圧があってもなくても、リアルな体験が絵師に命を与え情熱を呼び起こす、その描き方は好き。

北斎はもちろん、色気だだ漏れの玉木さま@歌麿に魅入ったり、狂気の永山瑛太に涙する。役者と風景を楽しむ。

他のユーザーの感想・評価

76歳にして俳優歴まだ20年。
でももうそういうことじゃないのが田中泯。
yoko45

yoko45の感想・評価

4.4
 二回観てしまいました。
 もう北斎=田中泯。神奈川沖浪裏、凱風快晴などの作品をみる度に田中泯さんを思い出しそうなくらい強烈です。
 前半、北斎の青年期を演じる柳楽優弥さん、なぜ描くのか、何を描きたいのか、焦り、さまよう姿は良かったです。歌麿役の玉木さんはハマり役でした。でも、さらにこの二人を目利きの蔦屋を演じる阿部寛さんの重厚さが上回った感じ、なかなかの渋さかありました。
 そして後半、田中泯さん登場、前半の展開はなんだったのか、忘れてしまうくらい全部持っていかれました、田中泯劇場。北斎の画の線と同じくらい田中さんの顔のシワさえも芸術に見えてしまいます。
 北斎の若い頃は資料も少ないそうで、それを想像し描いたのは興味深いです。怒涛図(男浪女浪)を創る場面での青年老年の共演もなかなか面白い。でも老年期だけ、田中泯劇場でも良かったかなと。
 世の中でどんなことが起きても描き続ける、こんな時だからこそ絵を描く、北斎と田中泯さんの境地を垣間見ることができたような得した気持ちになりました。
……………………………
北斎の青壮年期:柳楽優弥
蔦屋重三郎:阿部寛     
喜多川歌麿:玉木宏
瑣吉 (馬琴):辻本祐樹
コト:瀧本美織
……………………………
北斎の老年期:田中泯 
柳亭種彦:永山瑛太
お栄:河原れん

(メモ)
種彦(永山)の筆を折らない決意の場面が厳しい。
きり

きりの感想・評価

3.5
北斎の映画として観ると物足りないかもしれないけど、「生みの苦しみ」「理屈抜きの情熱」がはっきりと描かれた映画。これらは創作より史実がすんなり入ってきますね。役者も豪華で、柳楽優弥や永山瑛太は本当に良い役者だと思います。低評価が不安だったが悪くなかった。
つみき

つみきの感想・評価

3.0
70歳になったら旅してーなと思った。

ただそれだけなんだよな。もっとドラマチックなものを期待していた。なんかもう一つ物足りなかった。
なつみ

なつみの感想・評価

3.7
絵師として認められてからの生き方が
カッコよかった!
プロってこういうこと言うんだな
take

takeの感想・評価

4.3
HOKUSAIのメッセージ性としての素晴らしさは後半で語るとして、私はこれを2回目はカラフルなエンターテイメント視点で観た。そうするとどうしても変換できないシーンはあるが、ほとんどが面白いシーンになる。もっともっとエンタメにしてみたら沸き起こる波が違う波になったろう。泣かすことに集中せずに笑わせてこその葛飾北斎、そんなHOKUSAIを見てみたい。

柳楽優弥は私の永遠の推しであるが、近年の彼はその存在感はそのままに素晴らしいが少し強く濃い。妻とのシーンが凄くよかった。

そして、この作品の素晴らしさは時代を味方につけたことからはじまる。
このタイミングでこの作品かと唸る。コロナ禍で自由を制限されている今こそ強く考えるものがある作品若年期の柳楽優弥は天才ながら青臭さを、老年期の田中泯は天才ゆえの狂気さをそれぞれスクリーンで生き抜いた。これほどの信念と真っ直ぐさに完敗。世界の北斎だった。素晴らしい。
藍住

藍住の感想・評価

4.0
好きなものを一生かけて好きと言い、浮世絵を描く。
北斎の身体から漲るエネルギーに、浮世絵の美しさに完全に魅了されていた。
柳楽優弥と田中泯のW主演なわけだが、キャスティングが完璧過ぎる。

自分の家の前で泣いていた子供に目も暮れず絵を描いていた北斎が子供ができたと告げられた日に変わる決意をして、一緒に子育てしてるシーンが素晴らしいし幸せだしで涙ぐんでしまった。
この時代劇映画に出てくる妻は夫を支えるだけの妻じゃねえのが凄えのよ!!!!!!!!!!
確かにご飯準備したりとかそういうのはあるけど、子育てはひとりでやるもんじゃねえ!!を描いてるの本当に勇気貰える。
時代劇だからといつまでも夫を支えるためだけに出てくる妻を良き妻として描く脚本家は皆んなとっとと辞めちまえ!!!!!!!!!!
(この映画の脚本家は女性です)
北斎とコトの関係性がどこまでも対等で、時代劇でこんな夫婦の関係を描いているの初めてでは!?!?
とてもとても感動した……。
時代劇映画を観て評価する基準が変わったのが何より嬉しい。
やればできるんだよやれば。
皆んなやらないだけで。

そういえばこの映画のカメラワーク、色々なシーンで冒険しているのが良い。
なんてことないシーンなのに『アクアマン』でアーサーがオームのトライデントをぶち折るシーンと類似した撮り方してんの最高だから皆んな観て欲しい。

観て良かった〜〜〜!!!!!
完全に私の中で(時代劇の夫婦の描き方の道を切り開いたという意味で)『オールドガード』と同じ棚に入れた。
時代劇映画の革命だ。
また好きな時代劇映画が増えた!!嬉しい!!
アイコ

アイコの感想・評価

3.2
予告編からの期待が高過ぎてのこの点数。

柳楽優弥×田中泯の組合せで期待せんわけないやん!!
演技力に間違いない2人の共演をどこまで面白くしてくれるのか?期待しかないやろ。

そもそも葛飾北斎という人物に対しては浮世絵を描いた人っていう知識しかないのでフィクションとノンフィクションの境目が分からへんけど
なんか序盤からいまいち面白くない。
豪華なキャストを活かしきれてない感めっちゃ漂ってて…

柳楽優弥演じる第一章、第二章と
田中泯演じる第三章、第四章。
2と3の間が飛び過ぎててええ??ってなる。
子供生まれたかと思った瞬間爺さん!!

この時代には珍しい長寿なだけにその一生を1本の尺に纏めるのは無理としても
ばっさり切り過ぎて予備知識のない人は完全に置いてけぼり。

あとラスト近くの青のシーン。
時代的にあれは顔料なんじゃないかと思ってしまい顔料は水に溶けないから
あのシーンはありえないんちゃうか?と気になって気になって仕方なかった。
(気になるから帰って来てから調べてみるとベロ藍というドイツで開発された顔料で富嶽三十六景にも使われたとの事)
ちゃんと時代考証してるんならそこもちゃんと調べて欲しい。

この適当さにイラッときて星を減らしたいところやけど田中泯さんの圧巻の演技に免じて目をつぶる。

結局名優の演技は堪能出来るけど
北斎の人物像とかはさっぱり分からんし
伝えたい事とかも分からん。
二流クラスの俳優が演じてたら星2.3くらい。
Agushin

Agushinの感想・評価

4.4
どんな時でも苦しい時だからこそ絵を描く、そんな北斎の生き様に感動しました!

このレビューはネタバレを含みます

すごいたんたんとした映画。
台詞も少なく、くどくなく、いい。

病床のつたやの着替えの場面、よかったなー。

福岡伸一さんの芸術と科学のあいだっていう本で触れられていた、北斎の怒涛図。
あのエッセイ読んだら、一割増しで楽しめる気がする。
キーワードは、らせんとうず。

色使いがとてもすきだ。吉原の歌麿の衣装と部屋がとくに。

渋い、いい映画でした。
玉木宏、よかったぞ!
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