Aoi

ハニーボーイのAoiのレビュー・感想・評価

ハニーボーイ(2019年製作の映画)
3.7
Filmarksオンライン試写会にて。

子役から長きにわたって芝居を続けてきた22歳のオースティンは泥酔事故を起こして更生施設に送られる。
PTSDと診断された彼は治療のために、前科持ちでアルコール中毒、元パフォーマーという傍若無人な父と暮らした日々を思い出す。


優しくできない父親と父親らしくいてほしかった息子のすれ違い



1995年の幼少期と2005年の青年期を行ったり来たりする構成。

登場人物の会話から特殊な環境が明らかになっていくので、保護観察の制度など正直理解しにくいところも多々あった。
けれどメインとなる3人の演技には心揺さぶられた。

まず、『ワンダー』『フォードvsフェラーリ』の子どもらしい印象とは違う、精神的に大人な少年役のノア・ジュプ。繊細で豊かな演技力が発揮されていた。

『レディ・バード』で好青年役だったルーカス・ヘッジズも感情を爆発させる青年期のオースティンを見事に演じ、彼の持つ痛みがひしひしと伝わってきた。

そして何よりシャイア・ラブーフ。あまり知らなかったが、自身も子役出身で複数回の逮捕歴あり、リハビリ治療を経験と、まさに本作の脚本のベースとなっている。
息子をうまく愛することができない不器用な父親で、本当にどうしようもない奴だけど、どこか魅力があってすっかり引き込まれた。

時を経てから気づくことができる親の気持ち。
切ないけれど心に染みる映画だった。
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