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ハニーボーイのtetsuのレビュー・感想・評価

ハニーボーイ(2019年製作の映画)
3.0
Filmarksさんのオンライン試写会にて鑑賞。(ありがとうございます!!)


[あらすじ]

飲酒運転で事故を起こしたことから、更生施設での生活を送ることになった俳優・オーティス。
罪と向き合うため、過去の経験を振り返ることになった彼は、無職の父と生活していた子役時代を思い出す……。


[感想]

子役時代から活躍する俳優・シャイア・ラブーフさんの半生を基に、ダメ親父との共依存関係で上手く生きられなくなった男の葛藤を描く。

成長した主人公役に『WAVES/ウェイブス』の優男が印象的だったルーカス・ヘッジスさん、そして、彼の父役として、シャイア・ラブーフさん本人も出演。

ぐっと惹きつけられる1カットのオープニングに、過去と現在をスムーズに行き来する独特な編集、紫の照明が心に残る美しい映像と、現実と幻想が入り乱れる物語など。

かなり斬新な演出が多く、ありふれたようでいて見たことのない親子ドラマが興味深い一作だった。

しかし、全体的な印象としては、内容が淡々としていて、後半、間延びしている印象も受ける。

大きな出来事が起こるのかと思いきや、作品の焦点は"彼と父の関係性"であるため、それ以外の要素(彼を支援しようとする団体の存在など)で深く描かれない部分も多く、そこが個人的には合わなかった。

ただ、逆に言えば、かつて親との関係性で問題を抱えた人にとっては、個人に結びつく経験から、かなり心に刺さる内容なのだろうなとは思う。


[制作の経緯]

本作の原作は、アルコール依存症だったシャイア・ラブーフさんがリハビリとして書いていた脚本。

それを友人である監督が発見し、今回の映画化に漕ぎ着けたとのことだが、正直、映画の脚本としては、若干、荒いと感じる部分があった。

あまりにも、個人の内容に寄りすぎているため、前述の慈善団体の描写や過去と現在の間における父に関しての言及がないなど、もう少し、脚色をしても良かったのでは、と思う部分はある。

確かに個人の経験を具体的に描いているので、共感できる人はいるとは思う。

しかし、客観的にみると、重要性をあまり感じない部分もあり、自伝という形に振り切ってもらった方が良かったかなと……。


[俳優・シャイア・ラブーフ]

シャイア・ラブーフさんと言えば、やはり『トランスフォーマー』の主役、冴えない青年・サム・ウィトウィッキーの印象が強い。

僕自身は、この役で彼のことを知ったのだが、それ以降は、かなり、「お騒がせ俳優」というイメージが凄かった。

本作の元ネタとなった飲酒運転による自動車事故に始まり、ライブアーティストとして、エレベーターに24時間乗り続ける様をライブストリーミング配信したり、美術館の周りを144周したり、かなりクセの強い活動の数々。笑

しかし、本作を観ると、彼の生い立ちや人柄が次第に垣間見えてくるため、その部分での面白さはあった。

また、「お騒がせ俳優」という呼称自体は、俳優の不可解な行動を揶揄した言葉だと思うけれど、今になってみると、その人生を知らなければ、行動を理解できないことは往々にしてあるように思う。

「お騒がせ俳優」と呼ばれる人ほど、これまでの人生での困難は多かったのだろうし、今後は、そんな背景を理解したいなと考えるようになった。


[父と子の関係性]

一方、本作を観ていると、自分も父との関係性を考えたくなった。

現在、自分は父と実家で二人暮らしをしているのだが、大学生という身分から、生活リズムが合わないことも多く、会話をすることは少ない。

劇中での親子関係のように、互いに暴言を吐きあって、意思疏通をするタイプでもないのだが、映画を観た後には、もう少し話をする機会を増やしたいなと思った。
(ちなみに、今回の映画の内容を父に話すと、「『ケーキ屋けんちゃん』みたいな話やな」と言われましたw。←世代が違いすぎて、全く分からない。)


[終わりに]

シャイア・ラブーフさんが、個人的に書いた脚本を、そのまま映画化したため、かなりパーソナルな内容となった本作。

それゆえ、自分のようにハマらない人にはハマらない作品だと思う。

しかし、誰にとっても、親との関係を考えたくなる映画であったことは間違いない。

ぜひ、見終わった後、自身の過去や現在での親子関係を思い返し、改めて、親と連絡などをとってほしい、そんな一作だった。


参考
『インディ・ジョーンズ』のシャイア・ラブーフ、酒気帯び運転で逮捕 - シネマトゥデイ
https://www.cinematoday.jp/news/N0014662 
(本作の導入となった事件の元ネタ。)

シャイア・ラブーフ、無責任と放任主義のストリートアートが伝える「縁」の本質 | FUZE
https://www.fuze.dj/amp/2017/04/labeouf-ronkko-turner.html
(お騒がせ俳優どころか、めちゃめちゃ知的な俳優であることが分かる良い記事。)

Every Even Stevens Reference in Honey Boy
https://youtu.be/Mb2jBC6Vq9c
(いや、こんなに小ネタが散りばめられていたなんて、日本人に分かるわけがねぇ。笑)