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ハニーボーイのねーねのレビュー・感想・評価

ハニーボーイ(2019年製作の映画)
3.2
シャイア・ラブーフが子供時代に抱えていた父親とのトラウマを、自ら脚本にしたため、父親を演じた一作。
子役として家計を支える12歳の息子オーティスと、それに依存する癇癪持ちの父親との歪つな愛情関係を、子供時代と青年時代の2つの時間軸で描きだす。

シャイア・ラブーフといえば、才能はあって多くの作品に出演しながらも、いつも世間を騒がせているスキャンダラスな俳優というイメージだった。
正直、彼がそうなってしまったバックグラウンドはまったく知らなかった。
まさか、こんな生い立ちが彼をアルコール依存に追いやっていたなんて。
兵士と黒人くらいしかPTSDにならないと思ってた、という劇中のセリフに私も思わずうなずいたが、きっとそれほどまでに父親との関係が彼の心をずたずたに支配していたのだろう。
犯罪はもちろんいけないことだ。
けど、こうした複雑な経験があったからこそ、彼の演技の才能をより色濃くしているのかもとも思ってしまう。
こうやって過去の気持ちを吐き出し作品として落とし込むことで、今の彼が少しでも救われているといい。
そう願わざるを得ない。

子供時代を演じるノア・ジュプは『ワンダー』で見かけてから気になっていたが、今作でも子供とは思えない演技力を開花させていた。
今作が胸に刺さるのは、ルーカス・ヘッジズとノア・ジュプの、まるで本人が乗り移ったような爆発的な表現力の賜物だろう。
今後ますますふたりには注目していきたい。
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