TakayukiMonji

娘は戦場で生まれたのTakayukiMonjiのレビュー・感想・評価

娘は戦場で生まれた(2019年製作の映画)
5.0
超複雑化しているシリア内戦。
シリア北部の都市アレッポの政府軍と反体制派の対立下で、戦地で自分たちの自由と平和のために街を守り続ける人たちを撮り続けたドキュメンタリー。
内戦前のデモが起こった時に女子大生だった監督のワアドは、スマホで戦場の真実を撮りはじめ、アレッポを退去するまでを撮り続けた。原題の「For Sama」の通り、戦場で生まれた娘のために、この真実を映像作品として残したもの。
目を覆いたくなるような悲惨な状況の中での生きる喜び、人々の触れ合い、絆、尊厳、別れ、悲しみ、戦時下での普通の生活、そこから生まれる奇跡、、その瞬間を形にしている。これから先を生きる娘へのメッセージは、世界に発信されるべき意義深い内容だ。

この作品を見てできることはまずこの現実を知ることだし、知った上で何かしら発信していくこと。彼女が撮り続けたメッセージを受けて、出来ることから始めるべきなのだと思う。
なので、このレビューで発信したいし、ぜひこの作品は色々な人に鑑賞して欲しい。


日本では独裁政権と民衆の構図で、ただ善悪が判断されやすいが、この政権を後押しするロシアがいたり(ロシア国民の多くは広くシリアの安定化に繋がると支持)、シリア内戦は宗教問題と国際政治が複雑に絡まりまくっていて、自分も正しく理解できていなかったし、世間一般的にも正しく理解されていない。例えば、ISの問題はショッキングなニュースとして語られていたが、沈静化したISはひとつの線でしかない。

この作品はそのようなことを知ろうとするきっかけになる。ドキュメンタリー作品の意義を改めて感じる。
TakayukiMonji

TakayukiMonji