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娘は戦場で生まれたのsnatchのレビュー・感想・評価

娘は戦場で生まれた(2019年製作の映画)
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何千回何万回と繰り返される人間の愚かさと苦しみが凝縮されている
シリアの独裁政権が自国の人々にここまで酷いことをする
アレッポを死の街にしたいのか

悲しみに咽ぶ顔顔顔…でもここに存在する大人や子どものアレッポの人々の笑った顔はとても美しいです

砲弾が降り爆撃音の中を次々と運ばれてくる絶え絶えの命に、仲間の命を失いがらも、医師や病院の仲間たちが昨日も今日も明日も向かっていく

愛する人との新しい生命を宿り戦場で生み育てる決意
その幼な子は瓦礫の病院の光りとなり人々の心を照らす

全てを撮影し続ける母である彼女のこの記録、ニュースや新聞の犠牲者の数字を見るだけで素通りしていく戦禍の現実が映し出される。

後半にシリアに戻ってくるのは、夫婦にとって悩みぬいた決意だっただろうが、何が起ころうとアレッポの医師であり続ける夫の姿と、死にゆく人々と生きてきている人々にカメラを向け続けその見つめる先には正義が何処にあるのかと問い続けるのは、二人の何もかも我が子の死をも覚悟した上での生き方。
私は見つめるしかありません。
幼な子もきっといつかわかる。
あなたがいたことに私は感謝する。

2019年の作品なので今の現状はと検索したら、更に泥沼化しているシリアが出てきて、なにか遠のいてしまう…今の自分と同時刻に存在しているこの現実が…
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