たった20日のうちに、爆撃で病院へ搬送された市民は6000人超。罪のない人々が廃虚のシリアで次々と「死」に直面する惨状を、ただ呆然と眺めることしかできない。そして、そんな極限状態において記録された「生」が産声を上げる瞬間に、たまらず涙してしまった。あんなにも息の詰まる出産シーンを、後にも先にも観たことがない。
もはや映画としての完成度など論じる余地を与えない、命がけのジャーナリズム。空爆で死んだ息子を前にして泣き叫ぶ母親の「全部撮って!これを見せて!」という言葉が忘れられない。大事なのは、まず知ること。知らなかったことを恥じるのではなく、知るきっかけをくれたことに感謝すべきだろう。
「Sama = 空」と名付けられた娘の、小さくとも力強い命に、託される未来。それは、同じ空のはるか遠くに確実に存在する、過酷な現実の未来である。