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娘は戦場で生まれたのakaneのレビュー・感想・評価

娘は戦場で生まれた(2019年製作の映画)
4.0
子どもの頃おばあちゃんから聞いた戦争の話を思い出した。
空襲警報が鳴ったのでご飯の支度中に避難し、家に帰ると家は全焼していたが、釜に準備していたお米がふっくら炊き上がっていてみんなで大笑いしたと。

戦争中も生活は続く。
アレッポの人々もそうだった。
落ちてきた爆弾の残骸に手を当てて暖を取り笑っていた。
爆撃でボロボロになったバスにみんなで絵を描いて遊んでいた。
戦地の真ん中で赤ちゃんが生まれた。
どんな環境でも喜びを見出すことができる、人間はなんて尊く美しい生き物なんだろう。

それなのに争い合うなんて。

母親は、アレッポから逃げ出せば信念を曲げたことになり、娘に胸を張れないと言った。
命をかけて張る胸とは?
信念のために死ねば娘は誇らしく思うのか?
永遠の0、沈黙、ジョジョラビットといった作品で、虐げられても生きることに執着し生き抜いた人達を見てきたから、意地のために死へ向かう人を見たくない…
でも、これこそ世界で実際に起きていることなんだ。
私はあまりにも世界を知らなすぎた。

たとえばR18のむき出しで壮絶でグロテスクなフィクションがあったとしても、現実の記録映像には到底及ばないのだろうと考えざるを得ない衝撃の作品だった。


2020年11本目
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