Tラモーン

ディック・ロングはなぜ死んだのか?のTラモーンのレビュー・感想・評価

3.7
"人間って計り知れないですね。そうまとめる以外言葉が見つからない"

まさにそのとおり。人間ってのは計り知れない。例え親友であっても夫婦であっても親子であっても。
誰しも人に知られたくない、いや他人からしたら知らないほうがいいくらいのことだってある。


ジーク、アール、ディックは中年バンド仲間。夜な夜なジークの家のガレージに集まってはヘッタクソな演奏を響かせ(バンド名はピンク・フロイト)、ビールを飲み、マリファナをやって、花火でバカ騒ぎをしていた。そんなある日、どういうわけだかジークとアールは、どういうわけだかグッタリして意識の無いディックを救急病院の入り口に放置して逃げてしまう。必死にディックの痕跡を消そうとするジークとアール。そして翌日、ディックの死亡が確認される。

楽天的で1人もので開き直っちゃったアールはともかくとして、ジークがとにかく気の毒。自業自得な部分が大きいにしたって可哀想で観てられない。ジークの選択と言動が全部悪い方に転がってしまって、そりゃもう常に居心地が悪くてヒヤヒヤするんだけど、それがなんとも笑える悪い冗談みたいな展開が続く。

ジークは最低なんよ、もちろん。でもなんだか同情しちゃう。ぼくもバカだからかな。ジークの奥さんもうちょっと話ぐらいしたってよ…と思うのは女性からしたらあり得ないのかな。

鋭いのか世間知らずなのかよくわからん警察官が微妙にアクセントになっててよかったなぁ。

"リチャードの愛称がディックなんですか???"

気付くの遅過ぎやて。

バカで下品なだけの事件なのに、ゲラゲラ笑えるというよりかは俯瞰でヒヤヒヤを楽しむブラックコメディ。
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