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ディック・ロングはなぜ死んだのか?のKのレビュー・感想・評価

4.7
『スイス・アーミー・マン』の人だったのか。そりゃ面白いわけだ。コメディ風でありつつシリアスに張り詰めた空気がずっと漂っていて、タランティーノ映画みたいだなと思ったけど、どうやら監督はコーエン兄弟が好きらしい。分かる気がする。序盤にとんがった教会っぽい建物やら電車やら壁に貼られた十字架っぽいのやら「ソレ」を連想させられるものがどんどん映されていくのには笑った。そんな風に思うのはタイトルによって生まれる先入観のせいかもしれず、ある種行き過ぎた考察とも考えられるが、マスキュリニティについても意識しながら作られたそうなのであながち間違ってもいないのだろう。「ディック・ロングはなぜ死んだのか」が明かされるシーンのジークとリディアが素晴らしかった。最初のうちはどちらも笑いを堪えながら話しているように見えたけど、そうではないのか? と思ったところでいややっぱり笑うの我慢してる? と思ってしまうような、色んな意味でギリギリの鬼気迫る演技だった。あれはなかなか見られるものじゃない。
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