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ディック・ロングはなぜ死んだのか?のAPlaceInTheSunのレビュー・感想・評価

4.2

『Everything Everywhere All at Once』がアメリカで公開されるや否や、大絶賛で迎えられ、興行収入的にも大成功を収めている。
A24作品としては、「アンダー・ザ・シルバーレイク」「アンカットダイヤモンド」を抜き歴代1位の興収らしい。

ダニエル・シャイナート監督が、『スイス・アーミー・マン』と『Everything Everywhere All at Once』間に撮った作品が『ディック・ロングはなぜ死んだのか?』。


アメリカ郊外の典型的なプアホワイト層。
どれぐらい典型的かというと、ガレージで仲良し三人組がバンド練習するくらい。ガレージバンドがあんな感じで練習してんの意外とあんまり見たことなかった。
地元で昔からツルンでるおバカな三人組が、酒のんで、クスリやってハイになって、ホモソーシャルな馬鹿騒ぎがさらに加速して、取り返しの付かない大事件を起こしてしまう。
男達のお馬鹿っぷりは「アメリカンアニマルズ」のアイツらっぽいし、「その土曜日、7時58分」のイーサン・ホークっぽくもあり見てて楽しい。お馬鹿な主人公に、ほとほと呆れつつも最後の情けをかける妻を演じるバージニア・ニューカムの表情がとても良い。

主人公達のおバカっぷりを、殊更コミカルには描いておらず、かと言って何か教訓じみたドラマに纏まっているかと言うとそうでもなく。ディックの死因が終盤まで示されずそれがミステリー仕立てにもなってはいるけど、やや吸引力に欠ける。 どの要素も中途半端な印象。

この監督、傑作と駄作を交互に繰り返すタイプの作家かも知れない。
だとすれば『Everything Everywhere All at Once』は海外勢の評判どおりかなり期待できそう。
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