神切り虫

誰がハマーショルドを殺したかの神切り虫のレビュー・感想・評価

3.6
俄には信じられないのは、それがあまりにも巨大な陰謀論じみているからだろうか。
数多の関係者すら、どこまでが本人なのかと疑ってしまう。
マッツ・ブリュガーから目が離せない。

他のユーザーの感想・評価

国連事務総長の死の真相を追ったドキュメンタリー。
調査をすると事件とは違う方向で、MI6やCIAが関わる白人至上主義のサイマーなる謎の組織を調べることになり、制作者も手に負えない状況なので、妙な編集を入れたりと困った状況を虚実ない交ぜのまま見せる映画でした。
えっどうすんのこれ…って思って見てたら監督もえっどうすんのこれ…ってなって終わる衝撃のドキュメンタリー
YYamada

YYamadaの感想・評価

3.7
【ドキュメンタリーのススメ】
 誰がハマーショルドを殺したか
 (2019)
◆ドキュメンタリーの種類
 被写体のありのままを撮影する
「観察型」
◆描かれるトピックス
 国連事務総長事故死に裏に隠された
 恐るべき陰謀

〈本作の粗筋〉 eiga.comより抜粋
・1961年9月、当時の国連事務総長ダグ・ハマーショルドはコンゴ動乱の停戦調停のため、チャーター機でコンゴへと向かう途中に墜落事故を起こし、ハマーショルドを含むすべての乗員が死亡。この事故は暗殺説もありながら、くわしい調査が行われないまま原因不明の事故として処理された。
・デンマーク人ジャーナリストで監督のマッツ・ブリュガーと調査員のヨーラン・ビョークダールは、謎の解明のためアフリカ、ヨーロッパ各地へ飛ぶ。当時の関係者たちは誰もが事故について語ろうとはしないなか、彼らはハマーショルド暗殺事件にとどまらない、秘密の組織による想像を絶する「ある絶滅計画」に遭遇する…。

〈見処〉
①暗殺部隊、ウィルス兵器——
 未解決事件の裏に潜む巨大な陰謀
・『誰がハマーショルドを殺したか』(原題:
Cold Case Hammarskjöld)は、2019年にデンマーク・ノルウェー・スウェーデン・ベルギー合作にて製作されたドキュメンタリー映画。
・監督は、デンマークで長年ジャーナリストやタレント、作家として多岐に渡り活躍し、『ザ·レッド·チャペル』『THE MOLEザ・モール』を手掛けた潜入ドキュメンタリーの第一人者、マッツ·ブリュガー。
・本作は「冷戦期最大の謎のひとつ」と言われる1961年9月の第2代国連事務総長ダグ·ハマーショルド墜落事故死に対して、7年の歳月を費やし、渦巻く陰謀とその真相に迫り、第35回サンダンス映画祭ドキュメンタリー部門で監督賞を受賞した。
・また、本作取材との因果関係は不詳ながら、2017年に国連調査委員会の報告書にて、当該事故がハマーショルドの命を狙った暗殺事件であったことを仄めかす資料の存在が明らかになり、本作にて語られる内容の整合性を裏付けている。

②結び…本作の見処は?
ドキュメンタリー最大級の題材——
◎:「世界史が変わるほどの衝撃」 …。アフリカ大陸の植民地からの独立、アパルトヘイト政策、HIV/エイズの蔓延など、60年代から90年代の史実を繋ぐ展開は、政治サスペンス映画よりも深い陰謀の闇に覆われている。
◎: とくに「南アフリカ海事調査協会(South African Institute for Maritime Research)」、略称「SAIMR」という謎の団体の全容が明らかになるにつれ、ノンフィクションとは思えない展開を見せる。
○: 作中で調査を行うマッツ・ブリュガーとヨーラン・ビョークダールのコンビ間に漂う緩い空気感が、ことの重大さを中和してくれる。
▲: 世界史を覆すような重大な新事実を証言の話中のみでスルーするなど、置いておきぼりのリスクが高い作品。証言内容が散らかったままの会話が延々と続き、睡魔を催す。一定間隔で振り返りをするなど、演出面では課題を残す。
▲: ラストも結局は「陰謀」の範疇に留まっているのも残念。
同じ監督が撮ったTHE MOLEが面白かったので、You Tubeに課金して視聴。
事故死として片付けられた国連事務総長のハマーショルドの航空機墜落を暗殺だったと仮説し、調査を行うというドキュメンタリー映画。
内容は途中から事故死そのものよりも、暗殺を計画(おそらく実行)していた南アフリカの秘密組織に焦点が当たっていくのだけど、南アフリカのアパルトヘイトの根深さというかエグみが半端ない事を痛感させられる1作。
1960年代政府高官の飛行機墜落事故の真相を追う二人がアフリカの秘密結社の存在にたどり着きそこからMI6やCIA、欧州やコンゴ政府まで広がる手に負えない壮大な計画が浮かび上がる。
これを世紀の大発見ととるか単なる陰謀論ととるかもし後者ならごめんね、と冒頭にエクスキューズがあるように信じるか信じないかはあなた次第系のドキュメンタリー。
まあ当時も暗殺説は出ていたらしいから恐ろしいことだがじゅうぶんにあり得るだろう。
上下白のマックスウェルと同じ格好で黒人の秘書にわざわざタイプライターを打たせる演出をしたり、探検隊の格好をして地面を探すシーンを入れたり、フィクションとノンフィクションをあえて混ぜて有耶無耶にしている。
しかし最後までみるとマクスウェルの右腕とされる人物のインタビューシーンは見え見えのシラの切り方だと感じるし、サイマーの核心をつく男の堂々とした話しぶりは中身がにわかには信じがたくても説得力があると思ってしまう。
監督がタイプライターを打たせる演出も劇中紙に残した証拠が有効か否かがキーポイントだったので示唆的だと感じた。
2022年現在はコロナによって世界中でウィルスと陰謀の文字がSNSを埋め尽くしているのをリアルタイムで感じるのである意味タイムリーな作品かも。
KMD

KMDの感想・評価

3.6
物凄い劇的に進むね、めちゃくちゃ好奇心そそられました。ただメタ演出のせいで、内容をどこまで信用していいか分からない作りだから要注意。なぜかシュールめのギャグが多くて結構笑えた。
劇場公開時鑑賞しましたがDVDにて再鑑賞再レビュー。
“ひょうたんから駒”というか、“嘘から出た真”というか、“藪をつついて蛇を出す”というか…
1961年に起きた国連事務総長ダグ・ハマーショルド氏の事故死をテーマにしたドキュメンタリー。…だったはずなのに、俄かには信じ難い事柄が次々と明らかとなっていく。
監督はマッツ・ブリュガー。一般市民をヨーロッパで北朝鮮を支援する組織に潜入させ、架空の武器取引を持ちかけたりして、彼の国の国際的な闇取引(武器密輸)ネットワークの恐るべき実態を明らかにした怪作「THE MOLE」を手がけた人物。それだけでもある程度のヤバさは伝わるかもしれないが「THE MOLE」より前に製作された今作は、それ以上にぶっ飛んだヤバさを放っている。
長年この事件を調査してきた人物と、現地に飛んだりして新たな証拠を探っていくのだが、事件の裏に謎の秘密組織が見え隠れし、その組織による、とんでもない陰謀の存在が明らかとなる。
今作は、監督であるマッツ・ブリュガー自身が、黒人女性の秘書を雇って彼女達に口述しタイプライターで記録する、というトリッキーな形式で進んでいく。コレは語られる内容があまりに現実離れしているため、敢えてメタ的な要素、シャレを入れていかないと誰にも相手にされない畏れがあったからではないか?と推測される。実際、作中でも秘書のお姉さんに「話が逸れてませんか?」とツッコミを入れられたりもしている。何故、確たる物的証拠もないまま、かつてその秘密組織に所属していた人物の証言を信用できるのか…等、ツッコミどころは満載だが、その語られる内容には本当に驚愕させられるので、まるでヨーロッパ系の陰謀論ミステリーを読んでいるように、ずっと見れてしまう。
WWⅡ後、1950年代後半から1960年代にかけて民族自決の機運が高まり、多くのアフリカ諸国の独立がなされた時代。その頃の所謂支配者層の人達の本音、闇が垣間見える。
以前の劇場鑑賞後、どうしても今作を再び見たくなって今回DVDを入手したのだが、パッケージをよく見たら発売元があの“アルバトロス”である事が判明して、なんか妙な香ばしさを感じた(苦笑)。
haiye

haiyeの感想・評価

2.9
若い頃の純粋な俺だったらもっと楽しめたのだろうか。開始5分であっ。と思ってしまった。気のせいかな。いや、たとえそうだとしても製作者の意図とか考えて楽しもうよ、と思ったが無理でした。もっと虚心坦懐に映画と向き合わなければ。
Blue

Blueの感想・評価

4.1
これは本当に衝撃的な作品でした。見終わった後にソファに深く沈みこんでしばらく動けなかったです。

映画的演出が入るから真っ向からドキュメンタリー作品と言うのは違和感があるけど、かなり複雑な話で取材したストーリーをタイプライターを打つ秘書に向かって話す演出でわかりやすい展開になっています。

国連事務総長のハマーショルドが墜落事故で亡くなり、それが誰かに殺されたのではないか、というところから始まります。どんどん真相に迫っていくけどやがて手詰まりになり、しかし自体は思わぬ方向に転がっていく。
その思わぬ方向に転がっていく真相があまりに受け入れ難い現実でした。
そしてその現実/真相を話せば話すほど、タイプライターを打つ黒人女性に話す演出に違和感と怒りを感じる。

アフリカ大陸そのものはヨーロッパにいいようにあしらわれ、ダイヤモンド、鉱物だけでなく、ジャングルを焼き払い、人も動物も見せ物として奴隷として連れていかれて、挙げ句にもしこの現実が事実ならば俺が秘書の立場ならパニックになってると思います。自分のルーツと故郷の大地を散々搾取し続けること300年近く、文化も生物も失われて挙句に信じられない現実を突きつけられる。

監督は意図して黒人女性に語りかけ、その様子をまじまじと見てカメラで映すのは明らかに白人が搾取する側としての演出なのだけど、極めて作為的な演出と感じました。

それもこれも全て最初で語る事が全てだと思います。

事の真相が全てわかるならこんな演出や笑えるシーンも含めてやろうなんて思ってないんだ、というのは監督の本音でしょう。わかっちゃいるんだが、どうなんだろうか。
ここまで取材してかなり近いところまでいった手腕は評価するけど、でも愚か者である事ははっきり言っておきたい気分になりました。

スコアがつけづらいけど、多くの人に見てもらいたいから高評価にしておきます。
ぜひ見て欲しい作品です。
登場人物が多くわかりづらい上に退屈なんだけど内容が衝撃的で目が離せない。
監督が今回のキーパーソンの格好をして黒人のタイピストに話をしていく構成が、観終わって考えてみたら悪趣味でたまらない。真実が明らかになるにつれてのタイピストの表情がなんとも言えぬ。
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