ゲタ

誰がハマーショルドを殺したかのゲタのレビュー・感想・評価

4.5
『「じゃあ、全部嘘だと思う?」と問われると「う…」って言い淀んでしまう怪作』

こういう映画を"見応えがあった"と
称してはいけないのでしょうが…

観終わった後になんとも言えない
複雑な心持ちで劇場を後にさせる
そんな作人でした

すべては映画の題名通り、真犯人である
「誰」を探り当てようとする
2時間ちょいぐらいの取材をまとめた
記録なのですが

面白いのは
「映画的ドキュメンタリー」とでも
言えばいいのか

監督自身の登場の仕方や話し方
さらに数多くのインタビューで話す
カメラの向こう側の人物達が

まるで創作映画のキャストで
あるかのように個々に語り続けるのが
なんというか普通のドキュメンタリーと
完璧に一線を画してる気がします

監督が起用した
このドキュメタリーを綴る役目を
わざわざ本当にタイプライターで
文字起こしをする黒人女性の秘書との
やりとりでまとめあげていくという
スパイスの妙

およそドキュメンタリーと称される映画を
割と多めには観てきたつもりですが
こんな映画はちょっと記憶にないほど
初めてのタイプという感じ

そこについてだけでも
非常に観る価値の高い映画と思います

さらに長いドキュメタリーでありながら
全部で15ほどだったかな
(間違ってたらすみません🙇🏻)
取材対象やテーマが少し変わるたびに
細かく章立てして構成してくれているので

これも飽きがきにくく
見事に「観る人を考えた」映画のような
ドキュメンタリーと感じる所以にも
思えます

加えて所々まるで戦中プロパガンダとして
子供にも分かりやすくするためかのように
パターンの荒いアニメーションで
中身を説明されたりするので
上映時間中全く退屈せずに
凝視してしまいました

さらに…

話はやがて「誰が殺したか」の核心を
解き明かそうとして進んでいく訳ですが

監督とこの問題を提起した
ヨーランなる同僚の取材は
いつしかとんでもない事実を
(映画の中で)探り当ててしまいます

それがもうおぞましい寒気を
全身に禁じ得ない"事実"…

慄然です💉
半端ないほどに

取材の全てが語られ映画が終わる頃
監督としての最後の見解が語られますが
それはあくまで取材を通して
監督が感じてまとめたことのいわば
"主観"であり

声高に「見ろ!真実を突き止めたぞ!」
みたいなことで終わる訳ではありません

もちろん出演者全員が保身のために
でっち上げやら嘘やらを
証言してるのかもしれないでしょう

でも、そこで必ず立ち返るのが
「ハマーショルドをはじめとして
 数々の人間が殺されている」
という動き用のない事実…

なので
簡単には揺るがせにできない感情が
このレビューの題名に行き着くのです…

梅雨の夜の極めて得がたい
充実した2時間の旅でした

誰にとっても興味が湧くテーマでもないし
見方によっては退屈な映画かもしれない

でも仮に友人に「観る価値ある?」と
聞かれたとするなら
小生としては

一も二もなくオススメしたい
怪作ドキュメンタリー

とだけ答えることと思います

[18:40]劇場②

P.S.
ちょっとした所にウイットなギャグも
挟まれてるので、こんな深刻なテーマに
ヘラヘラ笑ってていいのかなと
自己嫌悪にもなりましたが
まぁ、それはそれ。