こころとからだ

ブリング・ミー・ホーム 尋ね人のこころとからだのレビュー・感想・評価

3.6
緊張感のある作品。結末がネタバレしてしまったら終わりなタイプの作品なので、観る前に下手に情報の検索はしないほうが懸命。

ただ言えるのは、後味の悪い胸糞映画ではなく、エログロシーンはほとんどない。多少交戦で血は流れるが、猟奇的でサイコパスな目を背けるほどのシーンはないのでそこは安心していい。

「親切なクムジャさん」といいイヨンエはもうこういう影を背負った役しかやらないのだろうか。もっと溌剌とした元気な役を見てみたいものだが。

韓国の漁村の陰気な感じと閉鎖的な人々、村社会な感じは設定としては好みだが、実際にはこんなことがあって欲しくないと心から願う。

さらに1人くらいまともな人の心を持った人間がいてくれると信じたいが、意外と追い込まれると私利私欲に走るのも人間であり、綺麗事なしでこれこそが真の人間らしい姿なのかもしれない。

そして根本にあったのは、みんな家族への愛だ。主人公も村のみんなもそれぞれ守るものがあって、ただそれがぶつかり合うことしかできず悲劇となっただけのこと。誰も自ら悪いことをしている自覚はなく、周りの目もそれを許していた。

社会の無関心こそ、最大の悪なんだろう。

「トボンスン」での優しい父親役の印象の強いユジェミョンだったので、今回の役どころはある意味正反対でおもしろかった。けど優しくて恐妻家な姿のほうが似合うし、生産的行動をしたいならくるみパイを焼くべきだ。