rage30

ブリング・ミー・ホーム 尋ね人のrage30のネタバレレビュー・内容・結末

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このレビューはネタバレを含みます

行方不明になった息子を探す、母親の話。

息子が消えた事で周囲からは白い目で見られる、主人公。
捜索に熱心だった夫もイタズラ電話で事故死してしまい、まさに踏んだり蹴ったりの状態。
一方の息子も、田舎の釣り場で虐待されるわ、働かされるわと、地獄の様な環境にいた。

ここまで見るだけでも十分にストレスが溜まり、イライラさせられるのだが、なんとか息子の居場所の手掛かりを掴んだ主人公。
釣り場の一家は知らぬ存ぜぬも怪しさ満点で、さぁここから主人公がどう攻略するのか期待していたら…。

主人公は特に何の策も練る事なく、一家に潜入&突撃するのである…マジか。
当然ながら、一家に囚われてしまう主人公だったが、隙を突いてサディストの変態を殺害。
さぁここから復讐劇が始まるぞ…と思いきや、倫理観が働いて銃を撃てない主人公。
どうせ見殺しにするのなら、自分の手で殺しても同じ事だと思うのだが…。

人を騙す策もない、人を殺す覚悟もない、そんな人間が犯罪者集団の中にカチコミを仕掛けたところで、負けて当然だ。
しかも、主人公は普通の中年女性である。
それが大の男を相手にして修羅場を切り抜けてしまうのは、あまりにも不自然だし、御都合主義に思えてならなかった。

もしも、主人公が怒れる母親として、一家に血みどろの復讐を果たす映画になっていたら、ジャンル映画として評価された可能性もあったかもしれない。
人をイライラさせたわりには、カタルシスが乏しく、ラストも御都合主義的で最後までモヤモヤが残った。
徹底的な策と覚悟があった『親切なクムジャさん』とは、ある意味、正反対の映画と言えるが、策も覚悟もない主人公など一体誰が見たがるのだろう…。
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