富樫鉄火

英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン 2019/2020 ロイヤル・オペラ「フィデリオ」の富樫鉄火のレビュー・感想・評価

3.5
20200903/TOHOシネマズ日本橋
3月13日、コロナで閉鎖される3日前の映像。そんな時期に、ロンドンで、こんな「密」な舞台をやっていたとは驚いた。カウフマンは休演。
「音楽は一流なのに、いまひとつ面白くないオペラ」だけあり、第1幕は、当たり前の演出で、しかも舞台装置を左右半分に分けたり、パントマイム中心で、眠くなってしまった。
ところが第2幕で仰天。地下牢の主要人物たちを、囚人たち=現代人の群衆が取り囲み、無関心を装いながら見ている設定。しかも全員が意外と細かい芝居をしており、それを同時中継で背後に大きく映し出す。これによって、政治犯たちの悲劇が、いつの時代にもあることが、如実に伝わった。
結局、第2幕にかぎれば、いままで観た中で、もっとも面白い演出だった。第1幕も、この精神の演出でよかったのではないか。
歌手は総じて立派だが、レオノーレ役の歌手は、体格が立派すぎて(出演者中、もっともデカい)、すごいヴィジュアルだった。
富樫鉄火

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