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劇場版 SHIROBAKOのTELのレビュー・感想・評価

劇場版 SHIROBAKO(2020年製作の映画)
2.4
<内容が薄くて盛り上がりに欠ける>

いやー、TVシリーズの大ファンで、この作品があったからこそアニメに仕事で関わることもできました。それほどまでに好きな作品なのでかなり期待していました。

というわけで今作のレビューは

「TVシリーズを観たことがある」

こと前提で書かせていただいております。ご了承ください。


1.ストーリー
丁寧にまとまってたし、絶望からの鼓舞、そして仲間と一緒に大成功!みたいなきれいなストーリー展開でした。さらに笑いも涙もあるし、TVシリーズのファンなら「こんなことまで劇場版に入れてきたか!」と色んな発見があると思いますよ!

ただ、ストーリー構成は良いんですが内容が足りない。最後も「えっ、こんなにあっさり終わる?」と物足りなさを感じました。

この作品は5人の絆とその周りを固めるサブキャラクターたちの個性が大の魅力。その絆の描写(TVシリーズなら最後の最後で5人だけの語りがありました)がもっとあって然るべきでした。そういう場面がエンディング前に殆ど無かったこと、5人の成長や成功に感動したり涙する場面が少ない、などなど若干不満は残りますね。

あと、物語がサクサク進みすぎです。圧倒的不利な状況なのに気づいたらアッサリ完成。そこに至るまでの本気の苦労や怒り、悲しみ、そこを乗り越えたリアルな感情の描写がほぼ無かったんです。

TVシリーズであった「えくそだす!」や「第三飛行少女隊」の順調に行ってたのにゼロからやり直し→めちゃくちゃヤバイ!→ギリギリに完成→足で完成テープを各放送局へ届けに行く、、、のような胸熱展開が全く無くむしろ省かれていたのは残念でした。

2時間弱という短い時間の中で数十人を超える登場人物をうまく活かし切るのはやっぱり無理があったんですよ。劇場版ではなくTVシリーズ2期としてやるべきだったのではないでしょうか?

「絶望からの復活」の中に本当に面白い場面が山ほどあったのにストーリーの作り込みが薄いのでかなり中途半端。2クール24話で魅せてほしかったです。


2.キャラクター
物語はTVシリーズの4年後。なので各キャラクターも成長していたり別の道を進んでいたりと結構衝撃的な序盤でした。なのでこのあたり書いちゃうとネタバレが多くなっちゃって・・・

なので面白かったキャラをご紹介。


・木下監督
ネガティブな感じと可愛い感じがさらにレベルアップ!宮森が励まして鼓舞して制作へ引き入れていくことへの抵抗や、座敷牢から脱出しようとする狡猾な手口などなどかなり笑ったなぁ・・・

・本田豊
「万策尽きたー!」の人。劇場版でもちゃんと出てきたし、さらに結構出番も見せ場もあったので個人的には良かったなぁと。

・小笠原綸子
「ゴスロリ様」。今作ではちょっとかわいい場面が観れるのが嬉しいところ。個人的には、このシーンが観たいからもう一回映画観に行ってもいいかなぁと思ってるくらい。


他の気になったキャラのこと書いちゃうとかなりのネタバレになっちゃうので控えます。


3.酷評書いちゃったので良かった点を絞り出すと
またSHIROBAKOが観れたこと。大好きなキャラクターたちがまた映像として蘇ってきてくれたことが何より嬉しい。それに、TVシリーズの各場面を踏襲しつつ、新しい困難に向かって力を合わせて突き進んでいくところなんて涙なしには観られませんでした。

また、TVシリーズと同様にコミカルなシーンや爽快な場面転換などなどは最高でした。アクションもバトルも無い完全なる裏方室内劇なのにここまで躍動感あふれる魅せ方ができるのはすごい!


4.まとめ
TVシリーズが好きだった方は観に行くべき作品です。ただ、内容が薄かったりラストシーンが物足りなさ過ぎたりと残念な場面はたくさんあります。

なので、ファンとしてTVシリーズの続編OVA・ファンディスク的な位置づけとして楽しむってスタンスが良いと思います。そして観て泣いてください!


※でも、やっぱり劇場版じゃなくてTVシリーズ第2期としてやってほしかったなぁ。劇場版短すぎて多分制作陣もやりたいこと半分以上出来なかったんじゃないかな?
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