細野春臣さんの音楽は「はっぴいえんど」時代から聴いていたが、デビュー５０周年を記念したドキュメンタリーは細野さんの音楽に対する姿勢やバックボーンだけでなく、両親を含めた家族のこと、その家族に育まれた音楽環境まで映し出していて新しい発見があった。
一般的には一世を風靡した「ＹＭＯ（イエロー・マジック・オーケストラ）」で細野さんのファンになった人が多いと思うが、テクノポップだけではない、その音楽の多様性や豊かさが本作には溢れている。
このドキュメンタリーでは2018年に行われたワールドツアー、台湾、ロンドン、ニューヨーク、ロサンゼルスでのライブの模様が多く映し出されるのだが、そこには矢野顕子さん、水原希子・佑果姉妹、カナダのシンガー・ソングライター・マック・デマルコ、星野源さんが登場するが、何といってもロンドン公演で高橋幸宏さん、坂本龍一さんという「ＹＭＯ」のメンバーが久方振りに顔を揃えた時は興奮した。
このように登場する細野さんを敬愛する音楽業界をはじめとした人々、特に海外で「はっぴいえんど」時代を含めて認知されていることに嬉しい驚きがあった。
音楽が単に刹那的な享楽を与えて消化されるものになりつつある現代で、真に心に刺さり、記憶される音楽が、細野さんをはじめとした音楽人によって生み出されることを一音楽ファンとして期待したい。
