何も言えないよ。その方がうまくいくから_。
見た目には、何不自由のない結婚生活を送っていたトウコ。でも彼女の心の内は、いつも満たされない思いがつまって。
聞かせてよ、君の声_。
彼女のことを同類と感じていた、不倫相手のクラタ。交歓のただなかで訊く、そしてトウコは心の声を挙げる。
生来の孤独癖な二人が再会を果たした途端、これまでの空白を埋めるように求め合う、分かち合う。
そこには道徳も倫理も存在しない。間違っている、周囲の者がかわいそうとか、そういうことを問うべきじゃないタイプの映画でしょうね。
設定や説明を最低限度に抑え、台詞も少なめ。その分、主人公二人の細やかな表情や息づかいが感じられた。感情移入というよりも、妙なドキドキ感がありました。どなたかも指摘されているように「フランス映画のような作品」でした。