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Redのsingerのレビュー・感想・評価

Red(2020年製作の映画)
3.2
冒頭に流れるジェフ・バックリィの「Hallelujah」が息を呑む程に美しく、でもその裏側に、2人の塞がれた愛の哀しき運命が見え隠れして、ずっと心苦しさが残ったまま観進めて行ったという感じでしたね。

ストーリー的には、そこまで求心力は無かったと思うんですが、それでも随所にハッとさせられるような印象的なシーンやセリフが幾つかあって、そこに繋ぎとめられながら見ていたので、自分の中では良かったのか、悪かったのかが、正直よくわからなくて。
でも、雰囲気は好きなタイプの作品だったんじゃないかなぁと思いました。

キャストでは、やっぱり夏帆が1番印象的だったかな。
というか、正直、なんか最近、自分の中での彼女が“ヤサグレ女優”のイメージになってきてる所が、ちょっと引っ掛かってはいるんです。
13年前、山下敦弘監督の「天然コケッコー」で、その瑞々しい演技に心を打たれた自分にとって、今の夏帆は本当に予想外で、凄く実力のある女優さんに成長されたのは、映画ファンとしては嬉しい事なんですが、自分としては、もうちょっと可愛らしさが前面に出るような、突き抜けて明るい役柄や演技も見てみたいなぁと思う所もあり。
そんな複雑な想いが残っていたりするので、今回の役柄もとても上手かったとは思うけど、そろそろ違う一面も見たいなぁという気分にさせられましたね。

一方の妻夫木聡は、こういう寡黙なタイプの役柄は久々に見た気がするので、改めて幅の広い演技が出来る、確かな実力を実感しましたね。
柄本佑も、キャラクターはとても良かったし、演技も光ってたとは思うんですが、ストーリーに深く絡む部分が少なくて、ちょっと好演が勿体無かったような気もしました。

ラストシーン、ラストカットが凄く良かったです。
それだけで、作品が上手く締まった気はしましたが、結末自体は自分としては、全然納得出来なかったので、やっぱり評価が難しいなぁという、そんな作品でした。
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