ラーチャえだまめ

マトリックス レザレクションズのラーチャえだまめのレビュー・感想・評価

3.0
『「キレ」のないマトリックス』




まず本作は「シリーズを見ていることが前提」で制作されております。というか「過去作の映像がちょいちょい本編に挟まれて」くるんですよね。そう、まるで“デジャブ”のように……少なくとも1作目は見てから望んだほうがいいかな?そして本シリーズと言えばなんといっても先程出た“仮想現実”というパワーワード、そして難解な設定にシナリオといった具合に“難しい”イメージを持たれている方もいるかもしれません。




「マトリックス」の中で「マトリックス」という“作品”を語っている




この発想は面白いですねー。しかも社内会議するシーンで「マトリックスとは何か」を社員が議論し合うのです。社員=この映画の制作スタッフですよね?つまり制作陣が「マトリックスとは何か」を自問自答しているのを、あえて我々視聴者に見せつけてやろうと。その寄せられた“声”というのは、我々世間一般が持つイメージから専門的なものまで。本作から制作に携わった18年前はまだイチ視聴者だった“ファン”であるスタッフたちの実際の会議の様子をまるで見ているかのような



でもダサいのよ



第三者ならばともかく創作物の当事者が自分の創作物を語るやり口はちょっと個人的に見ていてダサく感じちゃいました。ジョージ・ルーカスが「スターウォーズが私たちの社会に与えたものは何か」のドキュメンタリーを自主制作でやったらなんか自分語りがウザいオヤジに見えてくるのと同じ。「エヴァ」だって周りが勝手に論争したり考察したりワーワー騒ぎててるだけじゃないですか?でもそれで世界観が当事者の手から離れそれ以外の色んな目線に立つ他者からたくさん揉まれて揉まれて……そして当事者の想像をも超える壮大な世界観=歴史が出来上がっていくわけで。それが“神話”爆誕なのです。だから「マトリックスがマトリックスを語る」という新しい試みは面白いのだけれども、同時にカッコよさは失われしまうというか。そう、本作はそんなカッコよさ=演出・アクション・ストーリーといったトリロジーにあったものが「ない」のです。いや完全に「衰えた」と言っていいでしょう。スタイリッシュさ「キレ」と言ったものが?作品から微塵も感じられないのです。




↓ブログにも感想書きました↓
https://edamamemamade.wixsite.com/edamame-movieimpact
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