このレビューはネタバレを含みます
米露冷戦下の中繰り広げれる、ベトナム戦争。主義の対立の中、アメリカが参入し主人公の次なるミッションはジャングルの奥地で独自の王国を築いているというカーツ大佐の暗殺。
CGを使わずにこの規模の撮影を行っているのが今見ても信じられない。ロケーションや爆撃やヘリコプターの規模と数を見ても本物の戦争にしか見えない程の凄さ。こんな大規模な撮影ができたのもゴッドファーザーのヒットがあったからなのだろうが大作が大作を産むとはコッポラ監督改めてえげつない。
登場人物全員が死と隣り合わせの環境でおかしくなってしまっている。まず印象的だったのがロバート・デュヴァル演じるキルゴア中佐。この世の何よりもサーフィンが好きでサーフィンの事しか頭にない!爆撃が続く中、部下にサーフィンやらせちゃうのは笑ってしまった。しかも爆撃されても伏せたり避けようともしない、いいキャラ過ぎる。そして一緒に川登りをする個性豊かな仲間達、若き日のローレンス・フィッシュバーンは細くて初め気づかなかった。過酷な環境で死が隣り合わせの筈なのにその感覚がバグって無くなっていた頃に訪れる彼の突然の死が部隊を更なる地獄へと引き戻す。印象深いシーンでした。そしてマーロン・ブランド演じるカーツ大佐。当たり前だが戦地はまさに地獄。でも更に地獄なのはジャングルの奥地でカーツ大佐が支配するエリア。遺体は木に吊るされ生首が転がっている。カーツのやばさがこの川の執着地点の様子から伺える。収容所の子供達に小児麻痺の注射をしたら子供達全員の腕を切り落とされたエピソードが彼自身を壊した原因だと考えると壮絶過ぎた。主人公もこの戦地で終わらない地獄を味わい既に壊れているのかもしれない、検閲でまだかろうじて生きていた女性にとどめをさしたシーンではそのように感じてしまった。途中で出会ったフランス人の未亡人には2人のあなたが存在すると言われていたが果たしてそうだろうか。彼に人を愛する人間性は残っているのだろうか。