ATSUYA

地獄の黙示録 ファイナル・カットのATSUYAのレビュー・感想・評価

4.0
朝のナパームは格別だ

皆さんは死後の世界を信じますか?
生前にいいことをすれば天国に行けて
生前に悪事を働けば地獄へ落ちる。
自分は天国だけ信じていて、地獄は信じません。
だって地獄なんて行きたくないですもん。

しかし、本作『地獄の黙示録』の舞台はタイトルの通り、地獄です。死後の世界ではなく、現実の世界に存在する地獄です。
信じるも信じないも何も、地獄は存在してましたわ。

ベトナム戦争下のカンボジアで過酷な任務に挑むアメリカ兵がベトコンをボコボコにしたり、逆にボコボコにされたりします。

アメリカ軍がベトコンをボコボコにする前半部分は、不謹慎ながら、とても楽しい気持ちになります。(主にワーグナーとギルゴア中佐のせい)

そして逆に、主人公一行(アメリカ側)がベトコンとカーツ王国の民にボコボコにされる後半部分は、とても深刻な気持ちになります。

この構成、「敵を殺せば勲章。見方を殺せば殺人罪」という、戦争の異常さを体現しているのでは無いでしょうか。

我々観客はアメリカ側の視点から映画を見ています。
なので、アメリカ兵に被害が出ると憤りを覚えます。
逆にベトコンに被害が出ると、一種の喜びのような気持ちが湧いてきます。
これは我々が「アメリカ軍は味方、ベトナム軍は敵」という視点から、視覚的に戦争へ参加していることになりませんか。

そうやって戦争に参加させられた多くの人が、自分たちの望まない形で分断を余儀なくされる、それこそ戦争がもたらす最悪の被害であり、戦争がなくならない、一番の原因になっていると思います。

昨日まで「同盟だ協力だ」と言っていた相手に、戦争が始まった途端、銃を突きつけなければならない。
敵とあらば、相手を人間とは思わず、容赦なく惨殺し続けなければならない。

戦争は人の理性を奪い、惨めな殺人マシンを生み出すだけですね。
戦場はまさに地獄。感じるのは地獄の恐怖のみ。

今回が初めての『地獄の黙示録』でした。
(ホントは公開3日目くらいに見たんだけど、寝ちゃったのでノーカウント)

とにかく刺激的な映画ですね。
戦争描写はとにかく凄いし、ストーリーも濃いし、3時間は流石に疲れましたけど、退屈せずに見れました。
ただ、マーロン・ブランドの話だけは全然意味がわかんない...2回見てもほとんど理解できなかったよぉ!

今日で就活が一旦落ち着いたので、映画鑑賞を再開していこうと思います。また急に消えるかもしれませんが...
ATSUYA

ATSUYA