たけうつ

地獄の黙示録 ファイナル・カットのたけうつのレビュー・感想・評価

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カーツ大佐の暗殺の命を帯びたウィラード。
カーツの居場所にたどり着くために川を登る過程で
ベトナム戦争、人間の業を垣間見る。

ナパームの焼きのはら、薬物依存、司令官不在の戦線、
幻覚、失われた自由。過程でウィラードはカーツに同情さえ覚える。

カンボジアでカーツと見えたとき、使命の全うに疑問を覚える。
葛藤を抱きつつ、それを断ち切るかのように最後には任務を全うする。
今際の際、カーツは冒頭の言葉を放つ。
“The horror. The horror.”

この映画に複雑なプロットはない。逆境を生きた主人公の哲学的、記念碑的勇気も描かれていない。一兵卒の任務遂行を通してベトナム戦争の、人間の営為の、
そして我々が生きる現代社会の歪な仕組み、グロテスクさを描写している。
優れた叙述手法を以下に挙げたい。

①不気味な語り口
ゴッドファーザーのマイケルコルレオーネ(アル・パチーノ)
本作のウィラード大尉(マーティン・シーン)
主人公の青年は共通して大きな瞳を持ち、かつ内省的、人を信用しない。
周りがバカをやってるのを少し距離を置いて見下すタイプ。周辺の馬鹿騒ぎは度を越しており、主人公は観衆の共感を集めるよう、物語が進められる。
ウィラードの鬱屈した視点から物語が進み、終始俯きがち。

②地獄の風景
・朝のナパーム香り
・司令官なき前線
・残るフランス人
・犬と貨物船

コッポラの闇、人間社会の闇を様々な手法で描く。
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