終始静かな演出で、なかなか物語が展開してはいかないのですが、これがいい具合に登場人物たちの閉塞感をうまく表している感があって、徐々にシンクロ率を上げさせられました。
どうしたってままならない世界との乖離を、めまいと、大きくて外観だけは美しい高層ビルに見立てた上でのラスト10分、圧巻でした。
ようやっとガラスの向こうへと踏み出し、世界の美しさを目の当たりにして、でもだからこそもうあんなところには戻りたくないと思ったのか。
ソヨンが選ばざるをえなかった路と、それに対するグァヌの言葉がドストライクで好きなやつでした。
すさまじい情報量とカタルシスでした。
結構ミスリードを誘ってくるし、そのときはなんでそんなシーン入れたん? その反応はなに? ってな疑問点も湧くんですが、ぜんぶ回収されます。
おかげでグァヌの第一印象って最悪なのですが。笑。
でもそのほうがきっと真相を知ったときの印象が深くなるのですな。
さりげない、窓と光と影の演出もいい。
あそこで一切グァヌの表情を映さずに物語を展開する感覚。なに食ったら獲得できるんだろう。