生姜異物強壮

A.I.ライジングの生姜異物強壮のレビュー・感想・評価

A.I.ライジング(2018年製作の映画)
2.3
失礼ながら自分はこの長編映画より、トリスタン・オフィールド監督による"先行"作品───YouTubeにも上がってる短編SF『ホワイト・リリー│White Lily (2018)』の方が "遥かに♪" 好き。いずれも、長期宇宙探索ミッションに人間の男性飛行士とアンドロイドの女性アシスタントの"ふたりきり"が挑む最中の、お互いの関係性を描いてる。

で、こっちのバージョンの場合、先ずは宇宙船が「恐ろしく監獄ルック」な内観を呈してて、ただでさえ孤独で緊張を強いられるミッションなのに、わざわざそこまで平坦で冷たくダークな船内にしつらえる事なかろう^^;てえ違和感がハンパなく。

さらには男性飛行士、かなり業が深くていらっしゃり、韓国製アンドロイド嬢を力任せに性処理目的にコキ使ったあげくが、肉欲だけじゃ飽き足らず「もっと俺に愛を示せ」とばかりに(それは本来の任務内容に無いにも関わらず)彼女の人格自体の魔改造を試みはじめる。

女性が観たら、彼の執拗に粘着質な言動はかなり「気持ち悪い」かもしれない。紛れもなく、彼は"毎日毎晩"ヒト型知能を相手にストーカー行為を繰り返すようになるんである。充電デフラグ中の彼女の裸体を"夜中に"じ~っと凝視してるシーン、やたら何分も固定カメラで映し続けるんで(スクリーンの外に居るこっちが)狂い出しそうになる。

そんならそれで、そのダーティ感だけを貫徹すれば《R指定の性愛SF》として"まとまってた"感はあるが、ラストが一転。あまりにキラキラした「童貞男子の夢想する哀しき純愛メルヘン」もどきでズームアウトして終わってくものだから……いや、もう勝手にやっててくれ、と(笑)

撮った当人は「破滅の刹那、愛が生まれた」とでも悦に入るんだろ。自分にゃ「こんなにも分厚い殻の中のド妄想、いちいち延々と映して他人(ひと)に見せんでもいーだろが!!!」って不快感でしかない。悪いけど。