エドワード・ノートンの差別に対する怒りと悲しみと、不条理に苦しむ人々への優しい眼差しが映画全体を貫いていると思いました。
都市の繁栄の裏に多大なる犠牲があることを描くこの作品は、格差社会とレイシズムを静かに批判します。
モーゼスという傲慢な権力者は、社会が良くなるためには、「犠牲」が必要だと考える。
彼がいう「良い社会」からこぼれ落ちた人々には一切目を向けない残酷さに怒りを覚えますが、権力の暴走の中で「寛容さ」を守り抜く主人公の戦いに胸が震えました。
トランプのモノマネ芸人(⁉︎)のアレック・ボールドウィンがモーゼスを演じているのも面白かったです。
社会がまったく狂ってしまったことへの憂いを残す結末はまさにノワール映画ですが、その憂鬱が現代にも共鳴していることは明らかではないでしょうか。