ひでやん

郵便配達は二度ベルを鳴らすのひでやんのレビュー・感想・評価

3.5
不倫関係に陥った男女が辿る皮肉な運命を描いたルキノ・ヴィスコンティの長編処女作。

放浪の旅をする男が、立ち寄ったレストランで人妻と恋に落ちるのだが、一目惚れとはいえ展開が早過ぎた。

束縛からの逃避行が始まると思いきや、途中で引き返す人妻。女が選んだものは愛のある放浪より、愛のない安定。そして男は愛する女と一緒になると「退屈」と愚痴る。男にとって放浪は自由であり、愛は不自由となる。

ジーノが出会うスペイン人は「自由」の象徴であり、宿から2人が歩く道は人生がプラスへ向かうような上り坂。再会したブラガーナ夫婦と車へ向かう道は、マイナスへ向かう下り坂。

北イタリアのオールロケで、当時の町並みがモノクロで映し出されるが、昼間のシーンは白が強過ぎて、少々目にキツかった。

郵便配達…いないんだね。ベル鳴らないんだね。観賞後に調べてみると、なかなかカッコいいタイトルだ。アメリカで二度目のベルは「来客ではありません」という意味で、重要な出来事は二度起こり、二度目が決定打という事らしい。

成る程、皮肉な結末だ。
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