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The ArbitrationのCisaraghiのレビュー・感想・評価

The Arbitration(2016年製作の映画)
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Arbitration?実際、準裁判ものの堅い話なのだからそのまま訳して邦題は『仲裁』でよかったのでは。

レイプ訴訟を起こす有能なITエンジニアのアデスワ・エトミ、訴えられるIT企業のCEO役O・C・ウケジェ、CEOの弁護人イレイティ・ドイル、CEOの妻ビバリー・ナヤ、見覚えのある顔ばかりで、ちょっぴりノリウッド映画通になったような気がして嬉しかった。最初は北陽のアブちゃんにしか見えなかったアデスワ・エトミもちゃんとアデスワ・エトミだと認識出来るようになった。この映画のアデスワ・エトミは、今まで観た中で最もゴージャス。もう一人の若い方の弁護士さんは初めて見る人かと思ったら、『ウェディング・パーティー』でアデスワ・エトミの友だち役を演じていたソムケレ・イヤマさんだった。全然わかんなかった…。ウケジェさんは、最初に観た『オクラを買いに行かせたら』のイメージからすると結構悪役寄りというか、情けない不実な男の役が多いかも。といっても、まだ4本目。

映画を通してナイジェリアやアフリカのことを知りたくてノリウッド映画を観ているようなものだけれど、この映画では、ナイジェリアでも優秀な若い人たちがIT業界を牽引していっているらしい、というのがわかった。弁護士は二人とも女性だったけれど、ナイジェリアの女性弁護士の比率ってどのくらいなのだろう?

ここに登場するThe Chartered Institute of Arbitrators (CIArb)とは、ロンドンに本部がある勅許仲裁協会(※)。主な目的は仲裁人のための専門機関を創設し、世界中で仲裁による紛争解決の促進を図ることにあるらしい。会員は149の国で16000人を超え、法曹界をはじめ、建設/海運/エンジニアリング/銀行/保険/会計/物流等、広範囲に渡る分野の会員で構成されているとのこと。
 アフリカでは、ケニア、モーリシャス、ナイジェリア、南アフリカに、アジアでは、香港、台湾、マレーシア、タイ、シンガポール、インド等に支部があるらしい。
 映画で知るナイジェリア、旧宗主国との繋がりはいまだに強く、受けた影響はあらゆる面で計り知れないようだ。今のところ、インド映画や香港映画のように、英国人shit!みたいな映画はまだない。

※勅許とは、天子の許可という意味らしいが、勅許仲裁協会が正式な訳語かどうかは不明。charteredとは、正式にお墨付きを得た、といったような意味のBritish Englishらしい。
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