MasaichiYaguchi

ホーンテッド 世界一怖いお化け屋敷のMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

3.7
普通のお化け屋敷だったら「ワー、キャー」騒いでも出てしまえば日常に戻れるが、この作品に登場する“究極のお化け屋敷”に一旦入ってしまうと、迷宮に誘われて永遠の迷子になってしまう。
ビビりの癖に怖いもの見たさや“体感”がしたくて、テーマパークに行く度にこの手の“施設”に行ってしまう一人だが、おどろおどろしいマスクの男たちがハロウィンシーズンに合わせて作ったお化け屋敷は“究極”という看板に偽りなく、様々なギミックを含めて凝った作りになっている。
「ホステス」のイーライ・ロス製作、「クワイエット・プレイス」の脚本家コンビであるスコット・ベックとブライアン・ウッズの監督&脚本による本作は、お化け屋敷を舞台にしたアトラクションホラーの楽しさだけでなく、人間ドラマがある。
原題“HAUNT”には「出没する」という意味があり、“The old house is thought to be haunted.”のような使われ方をするが、また別の意味で「つきまとう、ずっと悩ませる」というのがあって、“Nightmares haunted her.”という使い方もある。
映画の冒頭に本作のヒロインである女子大生ハーパーの印象的なシーンがあるが、これが暗示するものが幾度か本編に挿入され、彼女にとってトラウマであり、現在に至るまで“負の連鎖”になっている。
だからハーパーは、ルールメイトやハロウィーンパーティーで知り合った大学生たちと共に、囚われ状態の死の迷宮の恐怖と、そこで呼び起こされたトラウマにも対峙しなければならなくなる。
映画の舞台であるイリノイ州には恐ろしい心霊スポットが幾つも実在するらしいが、果たしてハーパーは恐怖に打ち勝って脱出することが出来るのか?
この映画は、名作ホラーやスラッシャー映画にオマージュを捧げながら、ソリッド・シチュエーションで一人の少女の通過儀礼、人間的成長を描き出している。