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ミッション・マンガル 崖っぷちチームの火星打上げ計画のrage30のネタバレレビュー・内容・結末

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このレビューはネタバレを含みます

インド初の火星探査計画を描いた作品。

冒頭に映されるのは、家事に忙殺される母親の姿。
「インドっぽい家父長制だな~」と思っていたら、母親が専業主婦ではなく、ロケット開発の現場で働いている事が分かる。
彼女のミスでロケットの打ち上げは失敗してしまうのだが、朝から慌しく働いている彼女の姿を見れば、誰も責める事は出来ないだろう。

つまりは、インドのロケット開発の遅れは技術的な問題だけでなく、家父長的な家族観や保守的な女性観にもある事が分かる。
本作のテーマを如実に語る、オープニングの手際の良さは見事だった。

そこから主人公達は火星探査計画を任されるのだが、集まったスタッフは女性に童貞にジジィという社会的弱者ばかり。
そんな負け犬達が実現不可能なプロジェクトに挑む…という設定だけでも熱いものがある。
女性陣が女性ならではの発想で難題をクリアしていくのも良いし、男性陣が女性の働く権利を認め、連帯していくのも良かった。

ここまでフェミニズム的なテーマが全面に出るとは思わなかったが、流石に『パッドマン』を手掛けたチームの作品なだけはある。
女性が見れば、登場人物の活躍にエンパワーメントされるだろうし、男性が見れば、女性観をアップデートする良い機会になるだろう。
ロケットが重力から解き放たれる様に、私達を古い価値観から解き放ってくれる一作だ。
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