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街の上でのMのネタバレレビュー・内容・結末

街の上で(2019年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

城定さん役の方がすばらしかった。本当にいつもああいう服を着てああいうしゃべり方をしている人にしか見えない。長回しであのナチュラルさが演技でできるなんてすごい。そしてものすごくかわいい。

城定さん登場以降、物語全体もぐっと歯車が噛み合ってきたように思えて、
台詞や衣装や役の佇まいが俳優さんたちに合ってきた気がして、
というかたぶん私の目がこの映画のテンポとメロディーに慣れてきて、
後半からこの映画のことを好きになっていった。

最後に部屋で二人になったときの雪さんはずるかった、あんな顔で、あんな声で好きって言われたらもうたまらない。
それを聞いた青の表情も完全に雪さんにまいってしまっている顔で完璧だった。
雪さんは冒頭の登場のときから目線がやけに艶っぽいというか、単にセクシーという意味ではない色気のような魅力がある人だなと思っていたが、あのラストで完全にヤラれた。

青役の若葉竜也もとてもよかった。あの雪さんをして「居心地がいい」と言わせるのも頷ける、納得の立ち居振る舞いだった。映画2〜3本くらいしか見たことないけど、とてもいい役者さんだなと思う。

正直前半のいろんな場面ではそれぞれの人が台詞を言わされている感が強くて、私はこの映画をあんまり好きにならないかなと思っていた。
青と城定さんの長回しのところとかでは台詞がすごくカジュアルで良かった。
そのあたりからけっこう雰囲気が変わった気がするけど、前半の「これは台本に書かれた台詞です」っぽい感じとは意図的にテイストを変えているんだろうか。どの程度アドリブが入っているんだろう。

青が出入りしている場所が、古着屋、古本屋、雑多なバー、気取ってなくて素敵なカフェ、というラインナップで「いかにも」だな…と少し思った。
私は行ったことないけど「いかにもな下北沢っぽさ」のような感じ。そこがちょっと白々しいかも、と思ってしまったのもある。
男性キャラの髪が軒並みボリューム満点の感じとか。おしゃれしようとしてないですよ、力入ってないですよ、みたいな髪と服。

『南瓜とマヨネーズ』に出てきた場所に行きたがる人とか、映画の話をする人とか、いわゆるサブカルっぽい界隈の人々をこれでもかと映していて、
出てくる人々にサブカルの香りみたいな統一感がありすぎて、
なんとなく彼らへの皮肉げな視線も感じられた。
(サブカルっていう言い方は好きじゃないけど、ああいう系統をオシャレだと思っている嗜好性の人々を他になんて形容すればいいか分からないので便宜上そう書く)
この映画を観に来た中にはそういう人々も多いだろうけど。下北沢ってほんとにあんな感じなんだろうか?
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