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街の上でのdm10foreverのレビュー・感想・評価

街の上で(2019年製作の映画)
4.4
【郷愁】

うんうん。
皆さんの高評価の理由も何となく分かりますね。
「傑作」とか「駄作」とかいう次元の話ではなく、本当に「誰も見ることはないけど、確かにここに存在している」っていう言葉がしっくり来るくらいに「体温」を感じる作品。

今泉監督と言えば、つい最近「あの頃」を見たばかりだけど、やっぱりこういう恋愛群像劇みたいのって上手だな~って。
直接的な恋愛の云々って言うよりも「恋が始まりそうな予感」とか「恋が終わりそうな直感」とかの表現がとてもうまい

主演の若葉竜也の何処となく漂う「昭和感」も凄く好きだし、出て来る登場人物たちの「ここにはいないけど、きっと何処かにはいる」っていう絶妙な距離感がなんとも言えない(特にイハちゃんの破壊力には完全にやられた)。
好きな映画って、いつの間にかその場所(空間)に溶け込んでしまっていて、何か起きるとか起きないとか以前に「ここにずっと居たい」って感じていることが多い。
この作品もそんな感じがした。

いわゆる「TOKYO」っていう巨大都市的な描き方ではなく、けれどもやっぱり地方の町とは明らかに違う独特の文化、生活スタイルが成立しているあたりは「東京」の底力なんだろうな。
単に「先進」「先端」のような位置づけだけではなく、昔から息づく「下町的な情緒」の匂いって、たとえそれが現代劇だったとしても、ベースにきちんと流れている。
だから東京の人以外が観ても、どこか懐かしいというか、スッと染み入ってくるような優しい感覚があるのかな・・・と。

あと、ちょっと内容にも触れたいのでネタばれコメ欄に移動します。
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