Ren

街の上でのRenのレビュー・感想・評価

街の上で(2019年製作の映画)
5.0
今泉監督の映画は私の中でハズレ無しでしたが、今作が決定打となりました。過去作『mellow』をより明るくしたかのような、今泉作品最高の恋愛群像劇。 2021年のベスト、そして私の邦画オールタイムベスト入りも決定です。今泉ファン以外への敷居が低く、誰にでも差し出せる上質なコメディ。

この愛おしさ。画面に映る全員がかわいいなんて思える映画が何本ありますかって話。出てくる人は皆んな、アイコニックで記号的なキャラクターというよりも、ただの人間。全然完璧じゃない人たちを魅力的に撮るのが抜群に上手い今泉監督の本領発揮映画でした。
過去作のように今作でも色々な “好き“ が出てきますが、それは性的指向とかそういう括りではなく、様々なケースの “好き“。身内同士の叶わぬ恋だったり妻帯者への恋だったり有名人との恋だったり。だけど監督は彼らに救済も罰も与えないし、ある意味関心も無さそう。そうなのね、うんうんって感じで日常を切り取るように描いていきます。だけどそれって “好き“ を描こうとすることの究極形なのかも。
青を振り回す4人の女性陣たちも、可愛くて愛おしい一方みんなしっかり面倒くさいところもある。笑 でも好きってそういうことなのよ。青の視点で物語を追っていたら好きになっちゃうのよ。
これがまた群像劇としても一級品で、ちょっとずつ噛み合ってラストとんでもないコントが始まるの面白すぎる。
出てくるシーンは多くありません (全編下北沢界隈に終始している) が、場面が変わる度に新しいコントが始まるようで飽きません。笑いの要素は過去今泉作品と比べても明らかに多いけど、笑わせたる!って力んでいない、低カロリーな笑いなので胃もたれせず観られました。
終盤には、キャッチコピーの「誰も見ることはないけど、確かにここに存在してる」を象徴するようなシーンもあり、ほっこりしました。彼女は彼が確かにいたことを認めたくてあんな嘘をついたのかな、とか。

ずっと日常の延長線上の話で地に足着いているように思えて、なぜかちょっとふわっとしているような。“下北沢“ という電車で行ける非日常で起きた、超普通の人々によるちょっとヘンな超普通の話。ぼーっとしている時とかにずっと流しておきたいくらい、心に馴染む映画でした。

『花束みたいな恋をした』然り、日常とカルチャーを絡めた普通の人たちの話に弱いのかも。あと、終わってみて気づいたけど色々謎めいた場面も多かった。笑 唯一今年劇場で2回観た作品です。

大好きなシーン
○ 冒頭古着屋での3人によるコント。飯塚さんが叫ばない東京03。カップルのような彼らを見つめる青の表情の変化が面白いので注目です。
○ イハが「ついて来ないの?」みたいな顔して振り返るとこ可愛いすぎて一瞬で虜になりました。
○ 青の「そういう場合は女性が上なの?」のバカさ加減。
○「あんたは誰だよ!」

謎シーン
○ 特に伏線でもなさそうなメンソールのタバコ。あの意味はなんだろう。ラスト、何を思い出したんだろう。
○ 実際もお茶の上 (?)。← 2回観たけどこれは本当に分からない。笑