【ある意味日本的な世界】
下北沢に対して抱いているイメージ。
若者
学生
個性的
貧乏
緩い
緩い
緩い。
。
物凄く勝手極まりない偏見マックスな印象で申し訳ない。
要は、下北沢という響きは、大人の世界の割とシリアスな部分についても、なんだか爽やかなテイストに落ち着かせてしまう効果があるように思われる。
そんな下北沢を舞台にした、若者たちの日常の物語である。
しかし、主人公も30歳を目前にしており、登場人物の大半は、既に若者と言えるか否か、微妙な人々である。
そういう意味では、この作品は、若者たちの世界を箱庭のように俯瞰しているとも言えるかもしれない。
登場人物は、皆それぞれに我々が想像する下北沢に住んでいそうなキャラクターばかりである。
そして、そんな世界の空気感は限りなく緩い。
従って、物語のテイストも必然的に緩い訳であるが、その点が、この作品の良さでもある。
あらすじをよくよく辿ってみると、話の内容自体は、割と非道い。しかし、その非道ささえも爽やか風味に包み込んで、1つの普遍的な下北沢へと落とし込んでいるように思われる。
また、最後には、西洋の喜劇のように、登場人物がドタバタを展開し、色々な複線が回収されたり、微妙にされなかったたりと、その辺りのさじ加減も絶妙である。
この様な日常生活の延長を描いた、舞台芸術のような作品が最近面白い。
それは日常の風景の中に「おかし」や「あはれ」を見つけてきた、我々日本人の感性に合っているのであろう。