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街の上でのkoheiのレビュー・感想・評価

街の上で(2019年製作の映画)
5.0
『街の上で』の作品評をリアルサウンド に寄せています。不在、恋、笑い、繰り返し、唄、亡霊、ダイアローグ、映画について。

http://realsound.jp/movie/2021/04/post-744301.html

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2021年2月14日
『二重のまち/交代地のうたを編む』と、不思議な共時性がある映画だと思う。無くなっても変わっても、あったってことは事実で、それはすごいこと。
主要キャラ5人くらい以外の、街に点在する個性豊かなモブキャラたちが、みんな「いる」ことを体現している人たちで面白い。空気階段『anna』にも通じるところがある人生の可笑しみ、影響を及ぼし合う世界のまわりかた。五叉路にて、出会う私たち。

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2020年10月17日ふたたび再見。この映画を観て感じる「面白さ」というのは、今まで映画を観ているときに感じてきたそれとはちょっと違うものな気がする。どちらかといえば、お笑いや演劇を観ているような感覚に近い。なにが違うのかと問われるとまだよくわからないけど、「コント」的な場面の多さがこの映画には多いからそう感じているのだと思う。(ここで便宜的に「コント」的と呼ぶものは、今泉映画の特徴「長回し」「部屋で座って会話する2、3人」「真面目であるからこそのおかしみ」あたりから発生している)。下北沢という街のあちこちで繰り広げられる「コント」。話される内容は極めてリアリティ(とくに自分にとって)のあるものだから、得てしてその撮影形態「コント≒フィクション性」との“ねじれ”は「いまわたしは映画を観ているんだ」という感覚をも覚えさせる。『アイネクライネ〜』『his』というばちばちにドラマティックな映画を撮ってしてもなお、インディペンデントな『街の上で』のような映画では今泉監督はある型に登場人物たちをはめ込んでいって「コント」を撮ろうとする。そこでは、登場人物たちが個々の感情に整理をつけていくように、あるときには淡々と、またあるときには非常に感情的に言葉を往還させる。さらに初期短編に通じる「好き」が映画を先導していく形ではなく、「人が人を好きになる過程」を映し出すことへの注力も垣間見える。コントとコントの間にはドラマがあり、それが『街の上で』に映ったり映らなかったりするとき。冒頭で述べられた「誰も見ることはないけど、たしかにここに存在してる」という言葉が、幾重にも連なって人生の物語をひとりでに語り出す。

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2020年6月17日に書いた、今泉映画についての序論。
https://bsk00kw20-kohei.hatenablog.com/entry/2020/06/17/004521

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2020年3月17日試写で再見。フィルマのスコアを4.8から5.0にあげました。ぐ〜おもろい。伏線回収しまくりな脚本の巧さに気づく。いいレビュー書いてこのおもしろさを表現したいな〜。

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http://bsk00kw20-kohei.hatenablog.com/entry/2019/10/13/214136

2019年10月13日の今日ワールドプレミア上映された今泉力哉監督の最新作、ネタバレなしの感想書いたのでご覧ください! めっちゃ好きです!
いくら推してもまだ公開決まってないですがー。
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