horahuki

悪魔の命令のhorahukiのレビュー・感想・評価

悪魔の命令(1941年製作の映画)
3.5
人間の脳こそが最も優れた送受信装置

脳が発する電気信号の記録に成功!でもその日に妻が交通事故で死亡…。感情のやり場を無くし記録装置を再度起動すると、生前の妻の脳波と全く同じものが記録され始める。この装置であの世の妻と交信ができるのではないかと考えたカーロフがマッド化するSFホラー。

脳波の実験成功→娘の誕生パーティーとハッピー全開の中、妻が死んでしまって堕ちていく…という急転直下具合が悲しいのだけど、脳波装置がジャケの通りなクソダサデザインだから出てくるたびに笑ってしまうという、カーロフに負けず劣らず見てる側の感情の浮き沈みも激しい映画。しかもすんごい色んな機械が組み込まれてそうなのに、中身すっからかんだし🤣

科学技術で彼方側との扉をこじ開けるという実験がどこかクトゥルフ的で、本当に開いたのかどうかを明らかにせず、近しい第三者の視点で観測した伝聞的に物語を処理するのもクトゥルフっぽい。お屋敷にカメラが接近しながら過去回想へと進むあたりは『レベッカ』からの影響が強そう。

他のマッドものと違うのは、基本的にカーロフ博士は善人でい続けるところ。途中でインチキ霊媒のババアがパーティに加わるのだけど、こいつに装置つけさせたら異常なほどの受信能力持ってるのがわかったから、彼方からババアを通して亡くなった奥様を呼び出そうとする。一度装置をつけてから、ババアが悪の道へとカーロフを誘うようなアドバイスをし始め、カーロフが断りきれずに堕ちていく…っていう感じ。

タイトルが『悪魔の命令』であることを考えると、一度目の実験でおそらくババアは彼方の「何か」を宿してしまったと考えるのが自然なのだろうと思う。奥様とまた話しがしたいっていう気持ちを悪側に利用され、禁断の扉を開かせようとするのは悲しいし怖い。

カーロフ+マッドサイエンティスト+博士を忌むべきものとして排除しようとする街の人々の集団等、明らかに『フランケンシュタイン』を下敷きにしており、ユニバーサルの『魔人ドラキュラ』『フランケンシュタイン』のリバイバル上映のヒットに対抗してコロムビアが製作しただけあってパクリ感が笑えた😂
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