Ayu

アフター・ヤンのAyuのレビュー・感想・評価

アフター・ヤン(2021年製作の映画)
4.0
コゴナダ監督作品初鑑賞、海外からシステムが引いたランダムな住所宛にポストカードを送り合う「ポストクロッシング」と言うものを1年半ほどやっているのですが、プロフィールに私はメッセージのネタに困ったら最近観て良かった映画や好きな映画を教えて、と書いていて、今年の4月にアメリカはメリーランド州に住む大学で教師をしている女性からおすすめしてもらってから楽しみにしていた作品(ちなみにデューラーのアイリスのスケッチのポストカードを美術館も好きな私に送ってくれたものに書かれていた)

劇中で近未来らしからぬ、どこか懐かしさのあるゆったりとした時間が流れる96分。コゴナダ監督のカットの切り取り方やアングルや色彩がとても自分好みで良かった。坂本龍一のピアノメインの劇伴も、岩井俊二監督の「リリィ・シュシュのすべて」に使用されたSalyuの名曲「グライド」のただエンドロールで流れるだけでない使われ方も良い。コリン・ファースの職業がお茶屋さんなのでお茶を飲むシーンがいくつかあり、温かいほうじ茶を飲みたくなった。

クローンとアンドロイド(テクノ)と人間がばちばちやり合わず同居する世界観は新鮮だったな。記憶と記録、境目、愛とか家族とかについてぽわんと考えながら基本解釈を観る側に委ねて、時々ふとしたシーンで答えをくれる素敵な作品。主人公一家のお家のインテリアも木を基調にしていて落ち着く雰囲気。

パンフレットも思わず買ってしまったのでサントラを流しながらゆっくり読もう。
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