アネモネ

アフター・ヤンのアネモネのレビュー・感想・評価

アフター・ヤン(2021年製作の映画)
3.8
SFはちょっと苦手で、あまり選んで鑑賞していません。
それプラス、今回は芸術的なところもあって
少し負担になってしまいました。
私は未熟でまだまだ映画の解釈が足らんのですな。

美しい映像と装飾なのに、画面の暗さが私には重く…あえて全体を見せない描写が逆に気になってしまい、やっぱり私にオシャレ最新SFは合わないのだなと凹みました。
この映画の芸術美と演出美の一つでもある自動運転の車でさえ、全体が気になるっていうバカぶり。
それが私の未熟さだとわかってはいるんですが。

ただ、静かな中に登場人物それぞれの感情が上手く表現されている演出は大好物で、観ていて全く飽きなかったしあっという間の上映時間でした。
もう時代は人種だけじゃなくそれぞれのアイデンティティや存在の意味を考える時代に行かなくちゃいけないんだと感じました。
アンドロイドだから、クローンだから。
そんな感覚を持って生活していた事に気づき、失ってわかる存在の大きさは、人間にだけあるものじゃない。
物事は、どう感じるかが大切で
きっと私もヤンに伝える術を備えていないと思わされました。
同じように感じて欲しいと思った時には、その伝える相手はいないという後悔は
この世界の「存在するもの全て」に当てはまるんだと思います。
そして、それぞれの過ごした日々の時間や思い出は違くて、もっと共有していれば…なんて、誰もが思う切なさでもあります。
ただ、この映画のように過去をデータで手繰れる時代が来るのも少し抵抗もあるような。。

養女ミカのルーツを大切にしたい両親と同じ気持ちだったヤン。
そして
どんな存在でも、命あるものと生活したなら家族だし大切な命だと改めて思いました。

誰もが思うミカちゃん役の少女の演技と可愛さは言うまでもありません。
そして、静かなストーリーの中さりげなくムキムキを見せるコリン・ファレルと奥さんの女優さん2人とも美しかったです。


余談ですが、観賞後に調べるまで
私は岩井俊二も未観賞であの曲も知らなかったので「なんだ、この日本的な音楽は」と思ったら、エンドロールで小林武史かーい!ってなって、偏見でまた評価ダウンでした。
この偏見がいけないのも、わかってはいるんだけどさーーー。
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