ふしん

アフター・ヤンのふしんのレビュー・感想・評価

アフター・ヤン(2021年製作の映画)
3.5
SFですが、私たちの感覚にとても近い映画でした。そう感じた理由の一つは、SF的な道具や思想が比較的少ない世界観だったため。もう一つは、ヤンの故障と家族の感情・行動が、(手段こそ違いますが)大枠は私たちの家族が危篤状態になったり、難病にかかった場合のそれと似ているためかと。過去を振り返るのも、現代だとSNSや日記が役割を担うでしょうし。そのため、SF的モチーフを使ってますが、主人公達の感情や行動に自然と寄り添えたのかと思います。

もう一つ、ぼんやり考えたのは、人間とクローン、ロボットの在り方・区別ですが、人間って、同じ人間同士でも人種や性的指向、職業などの区分で、普段から自分と他人を区別しがちだから、今更な気がしました。また、ここまでのAIが存在する世界であれば、ロボットへの感情的な依存は社会問題にもなっているはずで、対策がされていないのは少し違和感がありました。野暮なことを考えているなぁと思いつつ。

と、あれこれ妄想を膨らませつつも、静かな大人な世界観を満喫できる映画だったと思います。
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