ワイカ

355のワイカのネタバレレビュー・内容・結末

355(2022年製作の映画)
3.4

このレビューはネタバレを含みます

 世界を破滅させられる危険なテクノロジーをめぐり、最初はライバル関係だった米国とドイツの諜報機関の女性工作員が手をむすび、他の3カ国の女性たちとも協力してテロリストと戦うお話。

 キャスティングは豪華で華はあるし、アクションはなかなかだし、お金のかかってそうなメジャー感のあるつくりだし、ストーリーはそれなりにちゃんとしててそれなりに面白いんだけど、なぜか全体的に薄っぺらい印象。

 よくないのは、妙に愛情や友情を強調した安っぽい演出。序盤のラブシーンからなんか唐突で違和感を感じたんだけど、その後も歯の浮きそうなセリフや描写がちょこちょこ出てきてそのたびにうすら寒くなる。

 あのテクノロジーを盗んだコロンビアの人も家族がうんぬんとかあたかも愛情が背景にありそうなこと言ってたけど、ちゃんとした説明がなくて完全に消化不良。これならいっそ単に悪い人って設定にした方がよかったんじゃ。
 
 ペネロペ・クルスもなんだか思わせぶりな登場の仕方だったのに、最後まで普通の人という肩透かし感。てかあのコロンビア人のカウンセラーみたいだったけど、これまた説明不足でその設定いる?としか思えず。

 あと政府の組織から追われる身で、どうやって中国まで飛んだの?てかあの飛行機はなに?

 あの人が死んだと思わせようとしたシーンも、描き方がへたすぎて絶対生きてるのが見え見え。

 そして何より興醒めだったのは、中盤から出てきた中国政府の工作員が、ピンチに陥った他の工作員を救って美味しいところを全部持ってったこと。「われわれは世界平和のために行動してる」とかって、中国政府がそんなことするわけないじゃん!とすっかりしらけちゃった。冒頭のクレジットに中国資本ぽい会社の名前が出てきたから嫌な予感はしたんだけど、これ完全に中国のプロパガンダ映画でしょ。CIAを悪の巣窟みたいに描いたり(それは米国資本の映画にもあるけど)、あまりに露骨。

 ジェシカ・チャステインとダイアン・クルーガーの体を張ったアクションは、あまり見たことがないので新鮮だった(ジェシカの動きはちょっとスローだったけど苦笑)し、各国の女性工作員が手を結ぶという設定もユニークなだけにもったいない。

 続編がありそうな終わり方だったので、次は立て直してほしいものです。
ワイカ

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