踊る猫

2人のローマ教皇の踊る猫のレビュー・感想・評価

2人のローマ教皇(2019年製作の映画)
4.5
予想を裏切られる私の中での高評価に結実したのは、あるいは私の弱さからだろうか? この監督ならポップなものを撮るかな、という予測を裏切るようにして映画は「2人のローマ教皇」のシリアスな対話を切り返しを用いて展開させる。だが、この予測はもちろん私の浅はかさでフェルナンド・メイレレスはエンターテイメントを撮っていてもその裏側に(?)重厚な社会派の目線を取り入れていたのだった。この映画でもそれは揺るがない。教皇は権力者/権威ではあるが、政治家によって政治利用される存在でもある。また、教皇は完璧な人間ではない。間違い/罪も犯すしそれによって苦悩する。その弱さを、決して茶化すことなくストレートに描いていること。それでいて下品さがなく私の苦手な暴力描写もないことが好ましく感じられた。目がチカチカするような監督の十八番の映像面のギミックも流石に自重したか。この監督の底力を見せつけられたように思い、もちろん未見のものもチェックしたくなった。
踊る猫

踊る猫