ローマ教皇は世界９億人のカトリック信者（≒臣民）を統べる国家元首だ。バチカン銀行にはカトリック世界の後ろ暗い資産が集まってくる。
だからローマ教皇は宗教的というよりもむしろ政治権力のキナ臭さをまとう存在だと思っている。頂点に辿り着くまでにどれほどの泥水をすすり、人を蹴落としてきたことか。マフィアとの癒着や性犯罪者の隠蔽、離婚や避妊の禁止による女性差別など、過去の文学作品や映画でも、繰り返しカトリック教会の負の歴史は描かれてきた。
…という足を引っ張るもろもろの要素を差し引いてもなお（あるいは、こんなネガティブな要素があるからこそ？）この映画での老聖職者ふたりの対話は美しかった。どんな仕事であれ、トップにある者は孤独だ。
要所要所でのポップスの使い方も良かった。
