りほこ

2人のローマ教皇のりほこのレビュー・感想・評価

2人のローマ教皇(2019年製作の映画)
4.3
舞台はバチカン市国。2016年にローマ法王であるベネディクト16世が生前退位をし、コンクラーベを経て、次に選出されたのがアルゼンチン出身のフランシスコ。
この2人の交流を描いた作品。(実際には退位した後からの交流しかなく、事実と異なる部分もある。大河ドラマ的な感じで観るのがよろしいかと)

この映画の面白い部分は、コンクラーベの様子をサラッとカジュアルに見せている点。世界各国の枢機卿やスイス衛兵との会話等リアル感がある。システィーナ礼拝堂は観光で行ったが、人がいないと本当に神秘的な場所だと感じる。それは他のどのお寺や寺院、観光地にしても一緒だなぁ。
もう一点面白いのは、法王らしからぬコミカルな会話を繰り広げたり、ビートルズを嗜んだり、サッカー観戦をしたり。人間らしい部分を見せる。未知の世界を観られるところが一番興味深かった。それも故に2人も大物俳優の力の賜物だろうな。アンソニーホプキンスは悪役のイメージが強いが、ヒューマンドラマも凄く良い味が出ている。80歳越えとは思えない軽やかさと重厚さ。
そしてフランシスコの語る、アルゼンチンの内情は驚いた。知らない歴史が多くて恥ずかしいな。近代の話なのに。"神は沈黙を繰り返した"宗教映画でよく耳にするけど、日本のように万物が神ならば、声を聞いてたら大変だ。だから武道では黙想して、自分の声に耳を傾けるのかな。
最後に一点。彼らの考え方の違い(革新的か保守的か)の議論も興味深い。
"真理は大切だが、愛がなければ空虚なものだ。"
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