芹沢由紀子

エルカミーノ: ブレイキング・バッド THE MOVIEの芹沢由紀子のレビュー・感想・評価

3.5
本家「ブレイキングバッド」ファイナルシーズンをみた直後、興奮も冷めないうちに見たので、スコアは高め。
ほぼほぼファイナルシーズンの直後からストーリーがつながってるので、本来はファイナルシーズンの後のもう2話追加って感じ。おまけの2話だけど内容が濃かった。
そもそも、もともと本筋に組み込まれていた脚本だけど、ファイナルの8話に入りきらなかったから、悔しくて映画にしたんじゃない?という印象。
ジェシーにスポットが当たってて、本筋ではいつもいつも流れや感情に身をまかせ、成り行きで生きていた彼が、はじめて自身の強い決意のもと、人生を歩き始めたって感じがした。
まだ20代前半の彼が過ごした、過酷すぎる2年間の集大成。
肉体は若いけど、薬漬けになり、犯罪に手をそめ、愛するものを次々失い、殺人までしてしまう。常に死を覚悟し、孤独で誰も信じられない悲しい壮絶な2年間だったと思う。彼の精神年齢はすでに壮年。顔つきも、凶悪で疲れ果てた廃人みたい。変わり果ててしまった。
それでもピュアリティーを失わず、魂の叫びに従って、自分らしく生きた。だからこそ、だれもが彼に魅了され、生きざまから目が離せなかったのだろう。
このキャラクターが、当初制作サイドからシーズン1で死ぬ予定にされていたことなど到底信じられないほどの存在感と、輝きを放っているのは、アーロン・ポールという人の人間力なのかな。
今回は対極をなすホワイト先生がいないけど、充分彼の魅力は引き立っていたし、素敵だった。
本編で彼が「アラスカに行く」と唐突に言い放った理由や、IQ低めの悪友たちの後日談も回収できて、とても満足です。

余談ですが、あのサイコパスブタ野郎、トッド役の俳優さんは、キルスティン・ダンストの夫だそうです!マッド・デイモンに似てたけど、本編よりもかなり太った?あんな大きかったっけ?
ぜひ、本編シーズンファイナルまで見た直後に楽しんでほしいファンムービーです。
芹沢由紀子

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