@ TOHOシネマズ伊丹
めちゃめちゃ泣いてしまったのは、わたし以外の客が全員家族(子供連れ)だったからではないという前置きはさておき。
子供たちのラクガキ=自由の象徴という表現がとても素敵だった。一本の線はパンツ(2日目)にも大好きなおねいさんにも、勇者にもなり得る。水に濡れれば消えてしまう形だったとしても「好き」の気持ち、「守りたい」の想いがあればその刹那は永遠となる。ななこおねいさんの「しんちゃん、好きよ」に何度も泣いたし、ひとりひとりの想像力が無限の創造力となり、やがてそのエネルギーが世界を変えてゆく様は、香港のデモに重なった。
一方で、しんちゃん映画に社会性を感じるってのは現実社会がヤバい証拠だと思っている。権力者の思いどおりにならない者は壁に貼り付けるという描写が心底恐ろしかった。自分たちのことは棚に上げてひたすら個を攻撃する大人たちの描写が心底恥ずかしかった。
しんちゃんにはいつまでもお下品でくだらない世界でおしりを出していてほしい。現代社会への警鐘がいくぶん強すぎるとも取れるけど、ここまではっきりと示さなければわたしたちは気付けなくなってしまった。上映が終わって劇場を出る子供たちが口々に「おもしろかったー」と言っているのをにこにこ眺めつつ、しんちゃんを叱らなければいけないわたしたちがまたしんちゃんに叱られたなと落ち込んでいる。