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マイルス・デイビス: クールの誕生のKKMXのレビュー・感想・評価

3.6
 初心者向けのマイルス・デイヴィスのクロニクルドキュメンタリー。とりあえずマイルスの一生をザッと包括しましたよ的な作品でした。マイルスのことをあんまり知らない自分にとってはなかなか良かったものの、深い葛藤や苦悩、それを向き合う描写はものすごくアッサリなので、まぁ〜まおもってトコですね。


 とりあえずマイルスはロックな男でした。何より変化を恐れず、どんどん進化する。50年代に『カインド・オブ・ブルー』のような金字塔を打ち立てたのに、60年代後半はロックに影響受けて、70年代にはファンク化し、晩年はヒップホップに接近するなど、その歩みは実にロック。ジャズの人からすると、このような変容こそがジャズと言うかも。

 あと、マイルスはたびたびドラッグ依存に陥りますが、本作を観る限りだと手術の後遺症や交通事故等、身体の痛みを取るためにドラッグにハマっていく様子でした。スポーツカーと美女が好きで、身体が痛いからドラッグにハマるとか、なんだか原始的でシンプルです。本当は深い葛藤や苦悩があるんでしょうけど、その辺が伝わらなかったなぁ。クロニクルものの弱点というか、俺と相性が悪いだけなんだけどね。

 絶頂期で警察にヘイトを受ける体験が、その後のマイルスに負の影響を与えたとのことですが、マジでヘイトは終わっているなぁ。トランプが再選しなくてホントに良かったと思いました。こんな邪悪な伝統は無くならないとイカンです。

 80年代以降、復活したマイルスはなんだかルックスがJBっぽくなっててウケた!プリンスとは交流してたみたいだが、果たしてもう1人の巨人・JBとはどんな関係だったのだろうか?『オン・ザ・コーナー』聴く限り、絶対JBの影響は受けているはず!両者俺様イズムの大横綱だから、意外と意識しあっていたけど交流までは行かなかったのかもね。


 本作を観た後、やっぱりもう一度『ビッチェズ・ブリュー』を聴いてみるかな〜と思って聴いたけど、無理だった。スパニッシュ・キーとか2枚目の方はイケるけど。マイルスは時代によって音楽性が違いすぎるからハマるハマらないは大きいですね。
 80年代も『マン・ウィズ〜』は好きだけど(ファット・タイムは1番好きな曲)、それ以降は音色がキラキラしてダメだし、しかし遺作の『ドゥーバップ』は結構好き。マイルスは俺にとってクロニクルで聴けるミュージシャンではないですね。
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